ライフヒストリーという方法で異国の友人を理解し、アメリカ的なるものへ接近しようとする試み。
今、「分断」に揺れるアメリカだが、本書の登場人物の語りから、「分断」ということ以前に、アメリカ人であることの基層にアメリカ人が共有している価値が息づいていることが見えてくるはずである。分断や個人主義に振れるアメリカ社会に失望し、抗議し、憤る人たちもアメリカ人の一つの姿である。彼らの人生の語りの中には、誠実なアメリカ人の精神、すなわちアメリカの良心が、そこここに立ち現れている。本書を読んで、是非このようにアメリカ人を見つけてほしい。
「よく知らないもの」には偏見や差別意識が生まれやすい。対峙するものとつながりが生まれ、そこに理解できる関係の友人や知り合いや親しい人がいて、その人たちの生活の様子を想像することができるようになると、意識は変わっていくだろう。
まえがき
本書をお読みいただく皆さんへ
序章 質的調査法による異国の友人理解の試み
第1節 質的調査法とは
第2節 本書と質的調査法
第3節 学びのための読み取り
第1章 スーザンのライフヒストリー
第1節 スーザンのアメリカ
前半生◆生い立ち・結婚・仕事
後半生◆交友・両親の死・アメリカ人として
第2節 スーザンの語りを読み取る
第2章 スーザンに関わる人たちのライフヒストリー
第1節 夫リーのライフヒストリー
第2節 きょうだい・いとこのライフヒストリー
第3節 友人たちのライフヒストリー
第3章 語りからスケッチされるアメリカ
◆歴史・時代のスケッチ
1.南北戦争(the Civil War)/2.ハルハウス(Hull House)/
3.アフリカ系アメリカ人の大移動(Great Migration)/
4.日系アメリカ人の強制収容/5.スプートニクショックと教育助成/
6.ベビーブーマー/7.1960年代の意義/8.ERA(the Equal Rights Amendment)
◆文化のスケッチ
9.家系図/10.フラタニティ/ソロリティ/11.ブッククラブ/
12.文化活動/余暇活動/13. アメリカ人と宗教/
14.パーティー/15.居住移動/
◆教育制度のスケッチ
16.学校制度/17.ヘッドスタート/18.才能教育/19.教員のキャリアアップ
◆社会のスケッチ
20.アルコール依存症/21.自動車産業と地域/
22.公営住宅とジェントリフィケーション(Gentrification)/
23.人種的民族的多様性/24.民主党と共和党
終 章 アメリカ的なるもの
あとがき
参考文献
人名索引
事項索引
レビュー(0件)