人間社会を揺さぶる〈環境〉。地震や津波が指し示す自然災害の威力は、環境が人類の歴史にとてつもなく大きなインパクトを与えてきたことを我々に知らせる。
環境とその人類史にもたらした影響を歴史学はどのようにとらえうるのか。
環境史への歴史学の取り組みとその成果を、日本から、アジア、アフリカ、ヨーロッパ地域にまで視点を広げて示す。
序 環境に挑む歴史学 水島司
第一部 環境史へのアプローチ
人口と自然環境と比較史の文脈 斎藤修
地球環境問題の解釈とその解決ー歴史学と自然科学の協働と融合 佐藤洋一郎
環境史・災害史研究と考古学 宮瀧交二
近年における歴史生態学の展開ー世界最大の熱帯林アマゾンと人 池谷和信
環境歴史学の可能性 飯沼賢司
中国における環境史研究再考ー鵜飼技術からみた自然と人間とのかかわり 卯田宗平
第二部 地域史における環境
1.日本
歴史のなかの環境とコモンズー日本のサケの資源利用 菅豊
棚田と水資源を活用した楠木正成 海老澤衷
環境史からみた中世の開始と終焉 高橋学
初期神仏習合と自然環境ー〈神身離脱〉形式の中・日比較から 北條勝貴
火山信仰と前方後円墳 保立道久
2.中国
歴史学と自然科学ー始皇帝陵の自然環境の復元 鶴間和幸
環境と人間の生活の通時的かかわりー中国海南島の事例より 梅崎昌裕
生態環境史の視点による地域史の再構築ー生物多様性の歴史的変化研究のための史料について 上田信
雲南地域住民の天然資源保護・管理ー十八世紀後半〜十九世紀前半の元江流域・メコン河上流域を事例として クリスチャン・ダニエルズ
3.南アジア・東南アジア
南アジアの〈環境ー農耕〉系の歴史展開 応地利明
南インドの環境と農村社会の長期変動 水島司 東南アジアにおける森林管理をめぐる環境史 田中耕司
4.西アジア・中央アジア・アフリカ
気候変動とオスマン朝ー「小氷期」における気候の寒冷化を中心に 澤井一彰
ナイルをめぐる神話と歴史 加藤博
地中海、砂漠とナイルの水辺のはざまでー前身伝統に対峙した外来権力の試み 長谷川奏
遊牧民の移動と国際関係ー中央ユーラシア環境史の一断面 野田仁
偽バナナは消えたのかー北部エチオピアの栽培植物をめぐる歴史学的考察 石川博樹
5.ヨーロッパ・アメリカ
イギリス鉱物資源史と環境ーコーンウォル半島鉱業地域の事例から 水井万里子
史料解釈と環境意識の「発見」をめぐってー中・近世イタリア都市の場合 徳橋曜
ドイツにおける環境と歴史学・環境の歴史学ーヨアヒム・ラートカウ『自然と権力ー環境の世界史ー』を例に 森田直子
自然環境と社会環境の連続性ーラテンアメリカにおける環境リアリティ 落合一泰
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