平安京と京都は違う。
「不思議に思われるかもしれないが、
次のようにいえば納得して頂けると思う。
京都で訪れた観光地の数々を思い出して頂きたい。
神社仏閣なら、清水寺・金閣寺・銀閣寺・上賀茂神社・下鴨神社・知恩院・三十三間堂・北野天満宮・平等院鳳凰堂、風情のある繁華街なら、祇園、先斗町、鴨川の河川敷、嵐山なども観光名所だろう」
「京都は、平安京の外に広がる、新しい開発地を含めた都市だ。それが今や主客転倒して、
平安京の外の方が〈我々こそ伝統的な「都」です〉という顔をしている」
「平安京らしさといえば、誰もが歴史の授業で習った“碁盤の目”の
土地区画(同じ大きさの正方形の集まり)だが、
思い出して頂きたい。右に挙げた観光地を歩いた時、
道路や土地の区画がちっとも“碁盤の目”状でなかったことを。
“京都らしい”観光地は、全く平安京らしくないのだ」
ーーはじめにより抜粋
平安京が「京都」に転生するために武士の力が必要だった!?
「京都」を舞台に行われた権力闘争と土地開発の歴史を
気鋭の歴史学者が、大胆に描く。
主な内容
・川を拠点にした強盗集団に狙われ続けた平安京
・平安京には寺を作ってはいけないルールがあった
・廷臣の家を次々よ移り住む天皇
・貴族も庶民も楽しんだ「晒し首」パレード
・鳥羽離宮造営の衝撃
・勝手に戦争をして顰蹙を買った源氏
・武装した宗教団体が南北から都に迫る
・都のど真ん中で起こった殺し合い「保元の乱と平治の乱」
・京都駅周辺を開発したのは平家だった
・平清盛の出世が「京都」に新しい街を造らせた 他
各地域の歴史地図を多数収録。
レビュー(8件)
平安京が開かれたことを京都の起源というように考えるのが普通であろう。が、「京都」と聞いて思い浮かべるような有名な場所の中には、平安京の範囲を少し外れている場所が多く在るのである。 そこで本書では敢えて“「京都」”という標記を用いながら、「変貌して行った平安京」という経過を説こうとしている。それがなかなかに面白かった。 平安京の治安が悪化する中で、武士が登場するようになり、やがて摂関政治が行き詰って院政になって行く中、「保元・平治の乱」で平安京は戦が展開する“戦場”にもなって行ってしまう。 こういう流れが続いていた中、院政の時代には平安京の範囲の外がドンドンと開発された。かの清盛の時代にピークを迎える、隆盛を誇った平家も平安京の範囲の外を開発する動きに積極的に関与している。 本書では、そういう平安京が「京都」という様相になって行く経過に関して、その間の歴史の少し詳しい解説や、開発された場所が現在のどの辺りに相当するのかということも一部加えて語られている。かなり面白い! 偶々、少し前に京都の色々な場所を少し動き回る機会を設けることが叶ったという経過も在ったので、「あの辺り?」と思い出すことも多かったので、本書の内容が益々愉しかった。 こういう、永い経過を有している地域の変遷に光を当てるような内容は、非常に興味深い。