【POD】『あおいはる』の日々<障がい者と共に、地域で歩むということ>
◆埼玉県吉川市にある障害児支援施設(放課後等デイサービス)を舞台に、発達障害をもつ子どもたちと職員、地域の人たちとの心の交流を描いたドキュメンタリーです。コミュニケーションが難しく、多動傾向があったり、パニックが起きたりすることもある子どもたちですが、内面に隠された「豊かな感性」が明らかになるとき、彼らの顔は生き生きと輝き出します。「地域に参加し、地域で生きていく」という“地参地生”を旗印に、あたりまえの存在として地域で生きていくためのチャレンジの日々を追っています。◆一昔前に比べると、発達障害児への支援の重要性は、ずいぶん認知されるようになりました。接し方のノウハウを教える本がたくさん出版され、支援を担う事業所も続々と誕生しています。それはとても嬉しいことなのですが、実際の支援場面での子どもたちとのやりとりは、まだまだ改善の余地があるようです。特に、事業所数が増え、経験の浅いまま支援員になった人たちの多くは、知識として学んだ「発達障害」と、目の前の子どもたちの姿のギャップに戸惑います。戸惑いの原因のひとつは、コミュニケーションの成り立ちにくさです。そして、多動・パニック・自傷・他害などの行動です。こうした行動を前にするとき、「脳の中枢神経系の問題だから」とつぶやいているだけではどうにもなりません。そういった困惑は、親も同じです。◆実は、多動・パニックなどの行動は、単なる中枢神経の問題だけではなく、その裏に隠された彼らなりの「切実な思い」の表れであることが多いのです。本書では、パニックや他害行動などに走る子どもの気持ちに寄り添うことで、彼らが落ち着いていくやりとりが描かれています。また、コミュニケーションが成り立ちにくいとされている子どもたちと「心の交流」を重ねていくことで、子どもたちの暮らしぶりが生き生きと変わっていく様子も描かれています。発達障害をもつ子どもとの関わり方に戸惑っている多くの方たちは、本書に示されている「気持ちのひだに寄り添う関わり方」や、「子どもたちが、ここで生きていく」ということを視野に入れた「地参地生」という支援のありかたに、目からウロコの思いになることでしょう。
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