お国によって始められたかぶきは、その後、遊女たちによって模倣され、十七世紀初頭の京都を中心に地方に拡がった。近世の幕開けとともに絵画史に新しい画題やモチーフを提供することとなったお国や遊女によるかぶきーすなわち、女かぶきーは、どのような意味や役割を担って描かれたのか。同時代の鑑賞者はそれをどのように捉えたのか。
まず、女かぶきの演目とその変遷の経緯を整理し、描かれた芸態の意味を読み解く。次に、女かぶきを取り上げる絵画の真の主題と制作意図や背景、絵師や注文主と鑑賞者を探り、さらに、次世代の婦女遊楽図とのつながりを示す。その上で、遊楽図再考に向けて試論を提示する。
序
第一部 お国かぶきと遊女かぶき
第一章 お国かぶきーカブキモノから「かぶき者」へ
一.かぶきの始まり
二.お国かぶきの芸態
第二章 遊女かぶきー模倣から創造へ
一.お国をまねて
二.遊女かぶきの芸態
三.お国を超えて
年表 「女かぶき関連記録」
第二部 女かぶき図屏風の諸相─真の主題と機能
第一章 追慕・追善─『阿国歌舞伎図屏風』(京都国立博物館)
はじめに
一.小屋内外の人々と風俗
二.桟敷の人々
三.描かれた場所
四.絵師について
おわりに
第二章 記念/祈念・祝儀─『清水寺遊楽図屏風』(MOA美術館)
はじめに
一.モチーフの検討
二.遊女かぶきの興行場所の再検討
三.本図特有のモチーフと遊女かぶき踊歌
四.西洞院道喜と本図の制作背景
五.注文主と絵師
おわりに
第三章 敬慕・追憶ー『阿国歌舞伎図屏風』(出光美術館)
はじめに
一.右隻に描かれた場所とモチーフの提示方法の特徴
二.左隻に描かれた場所とモチーフの提示方法の特徴
三.描法の特質と絵師
四.両隻の人物比定
五.制作背景の推定
おわりに
第三部 女かぶきの記憶とその痕跡
第一章 懐古─『機織図屏風』(MOA美術館)
はじめに
一.モチーフの分析
二.画中歌の分析
三.女かぶき踊歌と「鹿子結」のモチーフ
四.女かぶき踊歌と「機織り」のモチーフ
五.「糸繰り」のモチーフと女かぶきの所作
六.制作年代と絵師
おわりに
第二章 憧憬ー『桜下弾弦図屏風』(出光美術館)
はじめに
一.上村松園が見た二つの『美人観桜図』
二.『機織図』との関係
三.出光本と「又兵衛風」人物の図様
四.画中歌と画中文
おわりに
結びにかえてー「遊楽図」再考に向けて
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