「みずからの臨床を実践しながら,同時にみずからの実践がいかなる時代的布置にあるのかを絶えず検証することーーアディクションアプローチに携わる専門家には,今後この大きな課題が科されていくだろう」(信田さよ子) 1970年代からの依存症臨床は,当事者と専門家の開かれた対話を展開しながら脱医療モデルを志向し,マージナルな「異端の実践」ゆえに独自に進化してきた。アディクションからの回復における自助と共助の可能性の探索が今,専門家と当事者の交差域で新たな実践知を起動する。
回復の遺産を継承してきた自助グループカルチャー,専門家・当事者の関係を転換する当事者研究,社会変動と新潮流をとらえようとする理論的考察,そして多彩な臨床現場から創発された援助実践ーーパラダイムシフトの熱量に突き動かされた専門家と当事者が織り成す「アディクションアプローチ」を総展望する。
1総論
来たるべきアディクションアプローチ信田さよ子
2理論と実践
迫り来る危機を査定するーーリスクアセスメント高野嘉之
動機づけ面接とはーーアディクション領域における歴史と意義を中心に高橋郁絵
アディクション問題における認知とその修正ーー認知行動療法森田展彰
未来から構成される現在ーー解決志向アプローチ田中ひな子
物語を書き換えるーーナラティヴアプローチ野口裕二
共鳴する対話たちーーオープンダイアローグ斎藤 環
暴力とアディクションーーDV加害者臨床高野嘉之
断薬と厳罰にこだわらない第三の道ーーハームリダクション古藤吾郎
分有される傷と経験ーーソーシャルワーク的アプローチ大嶋栄子
アディクションと自殺ーー「生存」を支えるアウトリーチ奥田由子
「共助」で支えるーー医療的連携河西有奈
「身体・生命」を支えるーーアディクション+HIV支援石川雅子
3自助と回復
「回復」の脚本をめぐる統治的批判へーースマープ化する薬物支援に向けた覚書
平井秀幸
自助グループとつながる支援ーー重層的連携岡崎重人
仲間とつながるミーティングーー対話の可能性倉田めば
アディクションとしての摂食障害鶴田桃エ・高橋直樹
傷ついた人々のサンクチュアリーー治療共同体・修復的司法坂上 香
不自由な回復上岡陽江
自由で不自由な彼女たちの回復ーーもつれてほどけるジェンダー問題上岡陽江
4アディクションアプローチの新潮流
EBPとしてのアディクションアプローチーー国際的な視座から原田隆之
ゲーム依存/ネット依存三原聡子
性依存症ーー再生への道吉岡 隆
窃盗症(クレプトマニア)竹村道夫
ギャンブル依存蒲生裕司
5対談
[対談]依存と回復の弁証法信田さよ子・上岡陽江
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