マイダン革命・クリミア侵攻・ドンバス紛争ーー
君たちはウクライナの夜を知っているか?
ヨーロッパとロシアの狭間で、
血塗られた歴史を生きる人びとの魂の声を聴け。
君たちは ウクライナの夜 を知っているか?
いいや、君たちは ウクライナの夜 を知ってはいない!
ここでは 空は 煙で 黒く染まる
--ウラジーミル・マヤコフスキー
ウクライナとEUとの連合協定への署名を拒んだ
ヤヌコーヴィチ政権を倒したマイダン革命、
そこにつけこんだロシアによるクリミア併合、
ロシアを後ろ盾とする反政府の分離主義武装勢力と
ウクライナ政府軍とのドンバス紛争へと続く事態を、
大文字の歴史に、多様なウクライナ社会の証言者たちの声を
織り交ぜながら立体的に描き出す。
“生の声” によるウクライナ現代史。
序文
ウクライナ地図
ロシアの主張するノヴァロシア地図
キーウ(キーフ)中心部地図
トランスリテレーションについての注記
I マイダン革命
1 空を黒く染める煙
2 ゴーゴリの国
3 その壮大な意図
4 ガリツィアのファンタジー
5 存在しなかった革命
6 「いいね」を付けるだけじゃ駄目なんだ
7 父親たちと息子たち
8 自発的秩序形成
9 鐘楼
10 ノアの方舟
11 「自分の選択だったのだ」
12 時間が砕けたとき
13 オートマイダン
14 価値観
15 その雰囲気には何か特別なところがあった
16 非分析点
17 リヴィウからのバス
18 遺体
19 震撼させられた者たちの連帯
20 人の肉の焼ける臭い
21 「君たちは全員が死ぬことになる」
22 ポルノ風の肖像画
23 革命の魂
24 透明性の弁証法
25 チェーホフの銃
II キーウの東での戦争
26 ロシアの旅行者たち
27 門に立つカリギュラ
28 おばあちゃんの戦争
29 何一つ真実ではない(ダチョウのシュールレアリズム)
30 プーチンのサイレーンたち
31 ドニプロ川の「ジドバンデラ」
32 あなた方のように賢い子どもたち
33 「われわれは完璧に理解していた……」
34 ヴォランティア活動
35 共産主義の亡霊
36 文明的な選択
37 赤の広場の「黒トカゲ」
38 愛国者を自由にハグしよう
39 分断された家族
40 アルチェフスク
41 ドンバスのゾンビたち
42 時間の蝶番が外れてしまっている
43 世界秩序
44 グッバイ、レーニン
45 キケロのローマ
46 われわれはウクライナの夜を知っているか?
47 「われわれは買収されない」
48 不条理劇
49 ドストエフスキーの『悪霊』
50 「この兵士は一日の終わりに後悔するだろう」
51 アイススケートのレッスン
52 絶対的なものは存在しない
53 何でもありさ
解説「顔の見えるマイダン革命」
訳者あとがき
原註
インタビュー一覧
用語解説(翻訳可能語・翻訳不可能語辞典)
レビュー(6件)
「“今”こそ読むべき!」という、時宜に適った一冊というのは在る。その種の一冊は、時には「何年か経ると然程…」ということになる場合も在ろう。しかし、本書は断じてそういうことにはならないであろう。登場したばかりの本書だが、これから一定以上の時日を経たとしても、或る種の“史料”というような価値を発揮するかもしれないと思いながら読み進めた。 著者はこの<マイダン革命>を巡る動きに関連して、ウクライナ現地を何度も訪ねて「言葉」を拾い集めている。以前からの友人や知人、訪ねた先で言葉を交わした人達、学識者や詩人のような文化人から市井の若者に至るまで、直接に聴いた言葉や著者が受け取った書簡やメッセージの内容を丹念に拾い集め、そしてそれらに基づきながら綴っている。 全体の内容は2部構成となっている。第1部は当時の大統領が追われてしまった「革命」だ。加えて、それが段落した後の何か不穏な空気感のようなモノに関する言及が在る。第2部は、東部ウクライナでの「戦争」というような状況の発生と人々の様子である。 「言葉」を拾い集めるということを基礎にしているので、推移する事態や吐露される人々の想い、考え方というような事柄が「臨場感」を持って迫って来る。仮令、それが著者の受け取ったメッセージに依拠する「伝聞と推定し得る」内容であっても「臨場感」が凄い。例えば…第2部に何やら酷い暴力に晒されてしまう人の話しが在るのだが、久々に「本気で怖い…」と思いながら読んだ。 本書には用語等の解説や註が巻末に在る他、随所に引いている詩や台詞等の出店が参照出来る情報等も適宜在って好い。 なかなかに好い本に出くわした。広く御薦めしたい。