「新世界」の植民地の大部分において、新たな労働形態として導入された奴隷制。四世紀以上にわたりヨーロッパ主要列強の植民地を特徴づけてきた奴隷制に関する文献は多いが、この制度から脱却するプロセスについてはあまり知られていない。脱却へのプロセスは地域によって多様で、長い時間を要する、さまざまな要素が絡まり合った複雑なプロセスであり、その間、植民地社会とその本国において、奴隷による蜂起や内戦、イデオロギー的・政治的な対立が続けざまに発生した。仏領サン・ドマングで奴隷制が廃止された1793年からブラジルで廃止される1888年まで、およそ一世紀を要している。
本書は、フランスや仏領植民地の動向を中心に、奴隷制度が廃止されるまでの過程や様々な考え方、出来事を包括的に説明した入門書。
序
第一章 奴隷制に対するレジスタンス
第二章 奴隷貿易と奴隷制に対する批判
1 反奴隷制論者、奴隷制廃止論者、植民地改革論者
2 反奴隷制主義の起源
第三章 奴隷制廃止運動の誕生と飛躍的な発展
第四章 最初の奴隷制廃止(一七八九ー一八〇四)
1 奴隷貿易廃止の失敗(一七八九ー一七九〇)
2 サン・ドマングにおける「有色自由人」による反乱
3 サン・ドマングの奴隷蜂起と最初の奴隷制廃止(一七九一年八月ー一七九四年二月四日)
4 奴隷制の復活とサン・ドマングにおける失敗(一八〇一ー一八〇四)
第五章 十九世紀の奴隷制廃止
1 奴隷貿易の廃止ー一八〇七年、一八〇八年、一八一五年
2 ウィーン会議(一八一五年)
3 非合法奴隷貿易に対する戦い
4 英国による一八三三年の廃止、最初の不可逆的な断絶
5 フランスと二度目の廃止に向けた歩み
6 七月王政下の改革
7 一八四八年四月二十七日のフランスにおける奴隷制廃止
8 スペイン語圏の新生共和国における奴隷制の廃止
9 オランダ、スウェーデン、デンマーク
10 米国ー南北戦争と奴隷制の終焉
Ⅺ ブラジルー奴隷制の最後の砦
第六章 賠償金問題
第七章 奴隷制終焉後の社会の変転
1 植民地の将来ー新たな植民地化?
2 契約労働者
3 ハイチーカリブ地域唯一の農民社会
4 新たな植民地化ー奴隷制廃止論者の幻想と新たなるヨーロッパの拡張
結論
年表/訳者あとがき/参考文献/原注
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