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ぼくの母さんは中国人だった。母さんがクリスマス・ギフトの包装紙をつかって作ってくれる折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動いていた…。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作ほか、地球へと小惑星が迫り来る日々を宇宙船の日本人乗組員が穏やかに回顧するヒューゴー賞受賞作「もののあはれ」、中国の片隅の村で出会った妖狐の娘と妖怪退治師のぼくとの触れあいを描く「良い狩りを」など、怜悧な知性と優しい眼差しが交差する全15篇を収録した、テッド・チャンに続く現代アメリカSFの新鋭がおくる日本オリジナル短篇集。
レビュー(93件)
芥川賞の又吉さんがテレビで紹介され購入したのですが、短編集で面白いです。微妙なファンタジー感が何ともいえません。久しぶりに読書に集中しました。
切ない読後感の表題作をはじめ、どれもハードSFですが、生きてもがく人の気配が濃厚な作品群。非常に多作な人らしいですから、中からそういう風合いの作品を集めたアンソロジーなのでしょう。チャイナ・ミエビルと出会ったときのような興奮を久しぶりに味わいました(ミエビルはその後、私の中では失速ですが)。