春休みの宿題として、「ピーターと狼」のワークシートに取り組む中学生の「僕」。
そこへ突然、人形のような「道化師の妻」が現れーー!?
彼女に手渡された、輝くように明るい水色の本。
「ピーターと狼」の知られざる成立事情が、いま明かされるーー
あの陽気でひねりがきいたメロディを、すぐに口ずさめるという人も多いでしょう。1936年にプロコフィエフが作ったこの曲は、作曲直後からソ連だけでなく外国でも大きな評判を呼びました。今も、子どものためのオーケストラの定番曲です。
この作品は、世界史とプロコフィエフの人生が交わる、一度きりの特別な「点」でした。
そこにどんな歴史があったのか?
その答えを探すため、ロシアからアメリカ、ヨーロッパ、ソ連へと移動したプロコフィエフの創作人生を追います。
キーワードは3つ。
「ソ連の陽気で勇敢な少年」〜劇場監督サーツとの出会い、スターリン期の文化〜
「パリ経由のロシアの昔話」〜ディアギレフから学んだ民話の使い方〜
「アニメとディズニーに近づく楽曲」〜ディズニー本人に作曲家がアピールした「アニメ化」〜
第一線の研究者が、ファンタジックな物語仕立てでお届けします!
レビュー(4件)
空想上のアニメーション映画の中の音楽
「ピーターと狼」の立派な曲解説だが、難しい事情を思い切り易しく、楽しく語っている。多くの貴重な写真も有難い。行間にそこはかとなく可笑しみが漂っている。例えばディズニーの「三匹の子豚」、その主題歌の「狼なんかこわくない」、ソ連版「赤ずきん」との関連を筆者が真面目に語る程に、狼への同情心が掻き立てられるのは、筆者のひょうひょうとして何か可笑しい、そして少し悲しい道化師的語り口の魔術に、一時かかったせいだろうか。