登場人物の関係構造の中での、
涙の力学を考え抜く。
『源氏物語』に散りばめられた涙表現をどう読み解いてゆくのか。
本書は人間関係やまなざし、会話、身体、ふるまいと関連づけることで詳細に読み解いてゆく。
人物のしぐさと涙、笑いとの関係、誰と涙するのか、誰の前で涙を流すのか。
平安時代の他の作品との比較も行い、涙表現の豊かさと可能性も考える。
はじめに
第一章 関係性を紡ぐ涙ーー『源氏物語』
第一節 末摘花の「音泣く」--涙に秘められた力
第二節 涙の共有と〈ずれ〉--紫の上・光源氏関係をつなぐもの
第三節 明石一族の涙と結束ーー涙をめぐる風景
第四節 夕霧物語の涙の構造ーー紫の上をまなざす夕霧
第五節 葵の上の死と涙ーー光源氏と左大臣家の関わり
第二章 宇治十帖を織りなす涙
第一節 宇治中の君の涙ーー見られる涙の力学
第二節 浮舟物語の涙ーー浮舟・匂宮の相関
第三章 涙から読む平安物語ーー『源氏物語』以前
第一節 『伊勢物語』の「血の涙」--『うつほ物語』・『源氏物語』の涙の変遷
第二節 『うつほ物語』の秘琴伝授と涙ーー泣く俊蔭の女と泣かないいぬ宮
第三節 『落窪物語』の笑いと涙ーー落窪の君と道頼の関係性
第四章 平安後期物語の涙からーー『源氏物語』以降
第一節 『浜松中納言物語』のとめどない涙ーー唐后の面影
第二節 『夜の寝覚』泣かない石山の姫君ーー〈家族〉の表象
第三節 涙が浮き彫りにするものーー『堤中納言物語』「はいずみ」を中心に
第四節 『狭衣物語』の汗と涙ーー『源氏物語』との比較から
第五節 メディアとしての涙ーー『狭衣物語』飛鳥井の女君と女二の宮
第六節 『とりかへばや物語』の涙と身体ーー女主人公のジェンダーをめぐって
おわりに
初出一覧
あとがき
索 引
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