鴨長明が隠棲した、京都市日野山の、方丈の庵の跡に立つ時、人は、そこの生活が、いかに苛酷なものであったかを思わぬ者はないであろう。彼は、日野山における孤独と寂寥と窮乏に堪え、自己の生涯の帰結をこの庵の生活に求めて、その中に、深い「閑居の気味」を見いだしている。『方丈記』は、この閑居生活の真実な表現であって、いつの世の読者にも、現実社会の煩累を越えて、自己を深く生かす道を示唆してやまないものがある。
1 行く河の流れは絶えずしてー人と栖(すみか)との無常ー
2 予、ものの心を知れりしよりー安元の大火ー
3 また、治承四年卯月のころー治承の辻風ー
4 また、治承四年水無月のころー福原への遷都ー
5 また、養和のころとか、久しくなりてー養和の飢饉ー
6 また、同じころかとよ、おびたたしく大地震なる事ー元暦の地震ー
7 すべて、世の中のありにくくー世の中に生活する悩みー
8 わが身、父方の祖母の家を伝へてー出家・遁世と方丈の庵ー
9 いま、日野山の奥に跡を隠して後ー日野山の草庵生活の種々相ー
10 おほかた、この所に住み始めし時はー草庵生活の反省ー
11 それ、三界は、ただ、心一つなりー草庵生活における閑居の気味ー
12 そもそも、一期の月影傾きてー草庵生活の否定ー
『方丈記』概説
レビュー(0件)