平安時代の天皇はあらわに姿を見せず、内側からは外が見え外からは中が見えぬように御簾を下ろしていた。そこで絵巻に天皇を描く場合は、存在を暗示しながらも顔が見えないように工夫が行われた。宮廷絵師が生み出したこの技法は鎌倉時代に、神社の縁起絵巻で見てはならない神々を描く場合にも転用される。
尊いものの姿を“見えないように描く”表現がなぜ生まれ、どのように行われたかを、平安から鎌倉の絵巻で考える。
第1章 貴族の顔はみんな同じ?
1 引目鉤鼻ー源氏物語絵巻
2 似顔絵を描かれるのを嫌う貴族たちー最勝光院の障子絵
3 隆信の似顔絵ー承安五節絵
第2章 天皇の顔を隠すか描くか
1 御簾で隠される天皇の顔ー信貴山縁起絵巻
2 顔の見えない主人公ーなよ竹物語絵巻
3 どんな場合に天皇の顔が描かれるのかー伴大納言絵巻
4 天皇の顔を隠すのはなぜかー絶世の美女の場合と比べて
第3章 見てはならない神の顔を描く
1 見えない神々を形にするー自然物から宮曼荼羅まで
2 神々の縁起絵巻を描くー北野天神縁起絵巻
3 どのように顔を隠すかー春日権現験記絵巻
4 仏の顔が描かれた縁起絵巻ー霊験仏の縁起絵巻
5 誰が一番偉いのかー縁起絵巻で神の顔を隠すこと
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