2020年12月16日読了 レシピ集的なの。めちゃめちゃ面白かった。 「随園」というのは人名、袁枚のこと。「食単」とはレシピのこと、訳者は「料理メモ」と書いている。随園は別に料理のプロではないらしい。ただの食べること好きな人。 第1章は「予備知識」第2章は「警戒事項」で、これを知るだけで料理が上手くできると思う。現代にも通じる。プロの料理人を目指している人に読んでほしい。 第3章以降は、具体的なレシピ。「三 海産物の部」「四 川魚の部」「五 豚肉の部」「六 獣類の部」「七 鳥類の部」「八 有隣水族の部」「九 無鱗水族の部」「一〇 精進料理の部」「一一 小菜の部」「一二 点心の部」「一三 飯粥の部」「一四 茶酒の部」 最後の方に訳す時のエピソードとかも載せられていた。それも面白かった。,中国食文化史に興味があって、その方面の本を読んでいると、引用・参考にされることがある1冊です。ぜひ一読してみたかったのですが、調べてみると絶版で新品が入手できませんでした。幸いにも、2019年10月に再刊されました。 中国の大金持ちの食通の生活がイメージできる1冊です。特に驚いたのは、ツバメの巣やフカヒレといった高級食材や、3日煮込んだ手間のかかる料理ばかり食べているわけではないことです。 「予備知識」の部、「遅速を知るのこと」の項に、こうあるぐらいです。 「もし突然の来客で手軽な料理を出さねばならぬとか、旅行中船の上や宿屋で食事をする場合など、どうして東海の水を汲んで南地の火事を救うような悠長なことがしていられよう。必ず一種の即席即製の菜、例えば炒鶏片(鶏の作り身の炒め煮)炒肉糸(豚の糸づくりの炒め煮)炒蝦米(干し海老の炒め煮)豆腐および魚の粕漬・ハム類の、かえって拙速の妙を現せるものを準備しておかねばならぬ」 実際、漬物・佃煮・豆腐料理も結構多かったですね。また、精進料理は、精進料理といいながらも、動物性の出汁・油を使うことが多かったですね。 米飯の味覚は、日本人にも通ずるものを感じました。 水谷真成氏の巻末解説に、現在の日本語としては難しく、読みにくさを指摘する箇所もありました。ですが、中国史本を読みつけている者としては、それほど読みにくさは感じませんでした。 この『随園食単』の訳註者・青木正児氏の著作に、同じ岩波文庫から中国食文化史エッセー『華国風味』もあります。読み比べてみると『随園食単』は、『華国風味』よりは、改行が多いので読みやすい(少なくとも読みにくさ度は低い)です。 とはいえ、専門用語が多いので、附録の「常用術語略解」を読んでから、本文を読むほうが理解しやすいです。 ないものねだりですが、文章だけではイメージしづらい部分もありますので、料理を再現して、カラー写真で載せてくれればなお良かったですね(食べてみれば一発で分かりますが)。
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読書日記
2020年12月16日読了 レシピ集的なの。めちゃめちゃ面白かった。 「随園」というのは人名、袁枚のこと。「食単」とはレシピのこと、訳者は「料理メモ」と書いている。随園は別に料理のプロではないらしい。ただの食べること好きな人。 第1章は「予備知識」第2章は「警戒事項」で、これを知るだけで料理が上手くできると思う。現代にも通じる。プロの料理人を目指している人に読んでほしい。 第3章以降は、具体的なレシピ。「三 海産物の部」「四 川魚の部」「五 豚肉の部」「六 獣類の部」「七 鳥類の部」「八 有隣水族の部」「九 無鱗水族の部」「一〇 精進料理の部」「一一 小菜の部」「一二 点心の部」「一三 飯粥の部」「一四 茶酒の部」 最後の方に訳す時のエピソードとかも載せられていた。それも面白かった。
祝、再刊! 中国食文化史一読の価値あり
中国食文化史に興味があって、その方面の本を読んでいると、引用・参考にされることがある1冊です。ぜひ一読してみたかったのですが、調べてみると絶版で新品が入手できませんでした。幸いにも、2019年10月に再刊されました。 中国の大金持ちの食通の生活がイメージできる1冊です。特に驚いたのは、ツバメの巣やフカヒレといった高級食材や、3日煮込んだ手間のかかる料理ばかり食べているわけではないことです。 「予備知識」の部、「遅速を知るのこと」の項に、こうあるぐらいです。 「もし突然の来客で手軽な料理を出さねばならぬとか、旅行中船の上や宿屋で食事をする場合など、どうして東海の水を汲んで南地の火事を救うような悠長なことがしていられよう。必ず一種の即席即製の菜、例えば炒鶏片(鶏の作り身の炒め煮)炒肉糸(豚の糸づくりの炒め煮)炒蝦米(干し海老の炒め煮)豆腐および魚の粕漬・ハム類の、かえって拙速の妙を現せるものを準備しておかねばならぬ」 実際、漬物・佃煮・豆腐料理も結構多かったですね。また、精進料理は、精進料理といいながらも、動物性の出汁・油を使うことが多かったですね。 米飯の味覚は、日本人にも通ずるものを感じました。 水谷真成氏の巻末解説に、現在の日本語としては難しく、読みにくさを指摘する箇所もありました。ですが、中国史本を読みつけている者としては、それほど読みにくさは感じませんでした。 この『随園食単』の訳註者・青木正児氏の著作に、同じ岩波文庫から中国食文化史エッセー『華国風味』もあります。読み比べてみると『随園食単』は、『華国風味』よりは、改行が多いので読みやすい(少なくとも読みにくさ度は低い)です。 とはいえ、専門用語が多いので、附録の「常用術語略解」を読んでから、本文を読むほうが理解しやすいです。 ないものねだりですが、文章だけではイメージしづらい部分もありますので、料理を再現して、カラー写真で載せてくれればなお良かったですね(食べてみれば一発で分かりますが)。