●強迫治療の現場から学ぶ使える行動療法
『本書の解説』
強迫性障害は,WHOで身体疾患も含めて最も生活を障害する疾患の20位にあげられ,近年までは治療による効果は自然治癒を上回らないとまでいわれた慢性化しやすい難治な疾患である。そのような治療の難しい疾患に著者らが立ち向かえているのは,行動療法という技術を身につけているからであるという。本書では,曝露反応妨害法を導入する際のさまざまな工夫,曝露反応妨害法がうまくいかない時のパターンと解決法,発達障害,hoarding(溜め込み)を含めた強迫性障害の周辺群に対する行動療法の工夫等々,この難治とされる強迫のさまざまな臨床を通して,実際に行動療法をどう身につけ,生かし,つかいこなして治療を進めていくかが示されている。「極端なことを強引にさせる治療」「心を扱わない表層的な治療」「治療パッケージとして限定されたもの」等の行動療法をめぐる誤解を解き,その実用性と奥深さ,魅力を伝える。身につければこれほど役に立つ技術はないと実感している著者らによる,患者の生活の“質”の変化を目指す行動療法のススメ。
●目次
序章 気になることー行動療法の現状に関して
第1部 強迫性障害とその辺縁群の分類と治療の工夫
第1章 曝露反応妨害法が有効なOCD,有効でないOCD,工夫をすれば有効なOCD
第2章 その治療はなぜうまくいかないのかー治療が行き詰まる5つのパターン
第2部 曝露反応妨害法を導入する際の工夫
第3章 心理教育を行うことで治療を進めやすくする工夫ー小冊子『強迫性障害の治療ガイド』を利用した行動療法
第4章 治療への繊細な導入のしかたの工夫
第5章 入院施設のない医療機関における外来治療の工夫
第6章 ハプニングの多い入院治療での工夫
第3部 強迫性障害辺縁群に対する行動療法の工夫
第7章 強迫性障害と広汎性発達障害
第8章 強迫症状を伴う児童思春期の短期治療成功例
第9章 hoarding(溜め込み)に関する近年の仮説と治療
第4部 行動療法を使いこなす臨床家になるために
第10章 臨床に即した行動療法の実際ー効果的な精神療法としての行動療法
第11章 行動療法を生かすための薬物療法
第12章 「行動療法家」の訓練ー行動療法の治療者として自立できるための研修体験
第13章 九州大学精神科における行動療法の研修システム
第14章 行動療法治療者として自立するために必要な「考える」技術
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