昭和初期に活躍し、オダサクと呼ばれ親しまれる織田作之助の、代表作から隠れた名作まで、さまざまな作品を取り上げ、丁寧に読み解く。作之助は無頼派として、流行作家として人気を博しながら、小説表現の可能性を追究しサンプリング、リミックス、オマージュを駆使した実験小説家でもあった。作家は「何を」「いかに」語ったのか。「『夫婦善哉』を書いた大阪の作家」という範疇にとどまらないオダサク作品の魅力を伝える。
序章 織田作之助とは誰か
I 代表作を読むー形式の工夫
第1章 「系譜小説」と語りの方法『夫婦善哉』- 『夫婦善哉』
第2章 敗戦大阪の風景と戦中戦後の連続性ー『世相』
第3章 方法としての坂田三吉ー「可能性の文学」
II 作之助の〈器用仕事〉-先行作品の換骨奪胎
第1章 『近代大阪』のサンプリングー「馬地獄」
第2章 笑い話のリミックスー『人情噺』『俄法師』『異郷』
第3章 オマージュとしての一人称ー『天衣無縫』『勧善懲悪』
第4章 大阪・脱線・嘘ー『アド・バルーン』
III 新聞小説での試みーエンタメ×実験
第1章 銃後の大阪ー「大阪新聞」と『清楚』
第2章 戦時下の新聞小説への諷刺ー「産業経済新聞」と『十五夜物語』
第3章 記事・広告との化学反応/新聞小説の小説ー「京都日日新聞」と『それでも私は行く』
第4章 復員兵と闇市ー「大阪日日新聞」と『夜光虫』
第5章 先鋭化する実験ー「読売新聞」と『土曜夫人』
終章 作之助没後の世界でー1947年前後の〈小説の面白さ〉
凡例・参考文献
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