半導体や超伝導といった、一般の人にも比較的知られているキーワードに代表されるように、電気伝導は物性物理学の中で最も派手なアウトプットを有していると同時に、それらの各分野を横断的に横糸で繋ぐ分野でもある。そのため、電気伝導を理解することは、物理学の様々な知識・考え方の集大成のようなものであり、またそこから、種々の新しい概念が生まれたりもしている。したがって、電気伝導についてひと通り学ぶことによって、物性物理学の歴史、そして、現代物性物理学の世界の入口を俯瞰することができるであろう。
本書は、オームの法則、半導体、超伝導、量子ホール効果などに加え、非常に注目を浴びていながらも、まだ類書の少ないトポロジカル絶縁体までを、電気伝導という視点で解説した入門書である。
1.物質の電気伝導とオームの法則
1.1 オームの法則
1.2 様々な物質の電気伝導度
1.3 分極と誘電性
2.オームの法則の微視的理解(1)
2.1 古典論による自由電子モデル
2.2 量子論による自由電子モデル
2.3 結晶とバンド理論 -周期ポテンシャル中の電子ー
2.4 電気抵抗の原因
3.オームの法則の微視的理解(2)
3.1 電子の半古典的動力学
3.2 電子分布を考慮した扱い
4.素励起と分散
4.1 複素伝導度と複素誘電率
4.2 誘電分散
4.3 素励起
4.4 線形応答とクラマースークローニッヒの関係
5.乱れと電気伝導
5.1 半導体の不純物ドープ
5.2 アンダーソン局在
5.3 近藤効果
6.電子相関と電気伝導
6.1 バンド理論の前提
6.2 電子相関とモットーハバード転移
7.雑音
7.1 様々な雑音
7.2 ゆらぎの記述
7.3 熱雑音 -ナイキストの定理と黒体輻射ー
7.4 搖動散逸定理
7.5 散射雑音
7.6 1/f 雑音
8.電気伝導に関する発展的な話題
8.1 非線形性(非線形伝導・非線形光学)
8.2 物質の秩序状態と非線形伝導
8.3 非局所性(異常表皮効果)
8.4 メゾスコピック系
8.5 量子ホール効果
8.6 トポロジカル絶縁体
8.7 超伝導
付録
A1 物質中の電磁場
A2 半古典的動力学の基礎方程式の導出
A3 電磁ポテンシャルとゲージ場
A4 様々な周波数に対する電気伝導度を測定する際の留意点
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