メキシコ革命小説から、「魔術的リアリズム」、コロンビア暴力小説を経てガルシア・マルケス、フリオ・コルタサルにいたるまで……ラテンアメリカにおける小説家と政治の関係、さらに小説創作における政治・社会的要素の取り込み方について、20世紀のラテンアメリカ全体を視野に入れて論じる本格的ラテンアメリカ文学論。
序 章 二十世紀ラテンアメリカにおける小説家と政治
第一章 メキシコ革命小説の盛衰
1 メキシコ革命小説の誕生とマリアノ・アスエラ
2 『虐げられし人々』--ルポルタージュとフィクションの融合
3 革命へのヴィジョンとシンボルの使用
4 『領袖の影』の成功と革命小説の隆盛
5 アイデンティティの探求と新しいメキシコ小説
6 メキシコ革命小説の残したもの
第二章 国家統合と小説創作
1 国家統合と国民文学の創成
2 ホセ・エウスタシオ・リベラの登場
3 ロムロ・ガジェゴスと文明化のイデオロギー
4 『ドニャ・バルバラ』の構想
5 『ドニャ・バルバラ』と国家事業としての小説の誕生
6 国家政策への文学の取り込みとリアリズム小説の台頭
7 『カナイマ』と文明化の挫折
第三章 魔術的リアリズムと反帝国主義の文学
1 「魔術的リアリズム」再考
2 帝国主義の脅威と魔術的リアリズム
3 『この世の王国』に内包された意図
4 「驚異的現実」論の実践
5 「驚異」の可能性と『失われた足跡』
6 魔術的リアリズムの展望
第四章 アウグスト・ロア・バストスとヒューマニズムの小説
1 混血文化とラテンアメリカの小説家
2 『人の子』の成立過程
3 ヒーローとアンチヒーローの対照
4 アイロニーとヒューマニズムの小説
5 ラテンアメリカ現代小説とロア・バストスのヒューマニズム
第五章 コロンビアの暴力小説とガルシア・マルケスの登場
1 ボゴタ動乱と暴力小説
2 『空っ風』と暴力小説批判
3 暴力小説への参入と退役大佐
4 政治的暴力と生の緊張
5 『大佐に手紙は来ない』における象徴化の手法
6 シンボルと生の動力
7 暴力の時代とシンボリック・リアリズムの可能性
第六章 幻想文学と政治参加ーーフリオ・コルタサルの後期短編小説
1 軍事独裁制の広まりとラテンアメリカ作家
2 コルタサルの政治遍歴と政治思想
3 コルタサルの幻想文学ーー現実と想像力
4 「ソレンティナーメ・アポカリプシス」--幻想的体験と政治的現実
5 「新聞の切抜き」--想像力と現実参加
6 「グラフィティ」--想像力による団結と抵抗
結 論 政治と向き合うことから生まれてくる文学
あとがき
引用文献・索引
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