「ピラニア・クラブへようこそ」-新参のF1チームオーナー、エディ・ジョーダンはマクラーレンのロン・デニスからこう声を掛けられた。まさにその時、ジョーダン・チームからデビューしたばかりのミハエル・シューマッハーがベネトン・チームに取り上げられるように電撃移籍しようとしていた。ニュース、ゴシップ、そして膨大なスポンサーマネーが飛び交う巨大産業と化した現代のF1グランプリ。F1の世界では、生きることそのものがあらゆる意味で追越し車線でのできごとだ。より速く走れる者しか生き残ることはできない。地球上の最先端技術を極めた、最も贅沢で、魅力的なスポーツであるF1は、しかしいまなお進化論さながらの弱肉強食的な世界であることも間違いない。煌びやかなF1の舞台裏であるパドックに、F1ジャーナリスト、ティモシー・コリングスが乗り込み、華やかなスポーツの世界を動かす“ビジネスマン”たちに取材を重ねた。巨万の富を生みだすスポーツ・エンターテインメントに発展したF1の裏側で繰り広げられるパワーゲームの主人公たちを描き出した。その主人公とは、F1グランプリの興行者たるバーニー・エクレストン、マックス・モズレイ、あるいはレースに参加している有力チームのオーナーであるフランク・ウィリアムズ、ロン・デニス、エディ・ジョーダン、フラヴィオ・ブリアトーレといった男たちだ。彼らに付けられたニックネーム、それこそが「ピラニア・クラブ」なのである。
レビュー(0件)