地球環境を守る視点で世界経済についての教鞭をとり、現在は信州で有機農業を営む大学教授の愛娘・康花は、画業を志し数々の賞を受けながらも、若くして病で他界してしまった。2012年、教授は娘のために、信州・松本に私設美術館を開館する。そして難解といわれる愛娘の作品を分析し、そこに潜む愛と苦悩を、小説として構想した。先年刊行された『苦海の美学』(而立書房刊)が科学的好奇心に依っているとするならば、本書はその対極にある愛娘の感情的好奇心に寄り添い執筆されている。光と闇、生と死の拮抗が塗り込められた須藤康花の美術作品とつながる現実世界の物語である。
〈カラー口絵〉
第一話 冥界の対話 『苦海の美学』を評す
第二話 追憶 長野の山村・麻績へ
第三話 旅立ち 見えなかった森
第四話 青春 予期せぬ出来事
第五話 ゴッホの道 現代文明に抗して
第六話 「紀子」になれなかった康花
第七話 愛と別離 避けられなかった道
第八話 わが命尽きるとも
康花美術館について
須藤康花年譜
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