本書は、一面、過去有効とされてきたマルクスの経済学的諸見解について、その有効さの根拠と隘路を、行為論的社会学の方法により、誰にでもわかる仕方で明らかにしてみせたものである。
読者は本書に、有史の支配の歴史を通して拡大し続けてきた人間の自由が、最後の桎梏である「国家」による支配をどう打ち捨てられるか、その方途の提示を見るであろう。その提示自体は科学ではない。しかし、因果連関の科学は常に将来を予測することができる。人間にとっては、そのための「科学」の存在なのである。
マルクスが何を言おうと、あるいは資本主義を擁護する人間が何を言おうと、同様に、資本主義を否定したい人間が何を言おうと、世界の行く末は本書の記述どおりになる。
序 論
第1節 不可視の規定的構成の解析
第2節 歴史と社会科学
第3節 歴史性と行為主体
第4節 行為の原理・原則及び派生する行為論上の定式
第1部 経済法則と支配システムの展開
第1章 支配システムと可視的世界
第1節 見えないシステム
第2節 支配システムとは何か
第3節 社会における支配の成立あるいは国家
第2章 経済学の諸範疇と社会過程
第1節 「経済学批判」の批判
第2節 生産共同体での物資の移動
第3節 支配範疇下の物資の移動
第4節 支配範疇下の労働
補節 経済学批判と弁証法
第3章 経済法則による支配システムの変成
第1節 支配者による資本主義経済の取入れと育成の提携
第2節 新たな強制機構、あるいは「労働(力)の商品化」
第3節 資本主義の取込みによる支配システムの変成
第4節 生産関係の腐朽
第4章 後進国資本主義の形成と支配システム
第1節 「後進国」の形成
第2節 後進国の経済体制
第3節 後進国家の階級状況
第2部 支配システムの終焉への社会過程
第5章 操作可能な支配システムへの移行
第1節 階級の表出
第2節 変革主体、または自己権力の表出
第3節 権力システムにおける変更
第4節 後進国
第6章 主意的社会への支配システムの条件
第1節 既存の社会主義原理の問題点
第2節 支配の無効化の方途
第3節 残された後進国問題
終節 権力減衰への社会体制
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