「プレオー8の夜明け」で第63回芥川賞を受賞した古山高麗雄は戦記文学作家として著名だが、その著者が昭和51年から翌年にかけて「週刊新潮」に連載した長編捕物小説。芥川賞作家が捕物小説を手掛けた例は非常に少なく、その意味でも貴重な1編。
御用聞の手先をつとめる半助は何をやっても中途半端、ウジウジとあれこれ思案するが実際の行動には踏み切れない。そんな半助が事件に巻き込まれていくのだが、一向に解決には向かわず、思わぬ方向に展開してしまう。
兵士の眼で見た戦記文学で定評のある著者ならではの、独特な視点で描かれた、ユーモアとペーソスにあふれた異色捕物小説。
勧善懲悪・捕物名人が活躍し難事件を解決…、というのが捕物小説の王道だとすれば、これほど異端的な作品は無いかもしれない。
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