近年認知症の増加とともに増えてきた民事精神鑑定では、もっぱら人間の欲望と深い関係のなかで争われることになる。なかでも、遺言能力と養子縁組能力が扱われることが多い。
実際の民事鑑定では、鑑定人が鑑定資料からどのような証拠を選び取り、精神医学的に鑑定し、評価し、解釈しているか、またどのように法律家へ助言しているかを詳細に記録した。
本書を熟読し、裁判官がどのように事実認定を行うのか、その際にどのように鑑定意見を取捨選択するのか、裁判官の理解力、公証人や弁護士はどのように行動するかをつぶさに読み取っていただき、民事精神鑑定とは何かという本質に迫っていただけたら幸いである。
1 展望的鑑定と回顧的鑑定ー事実の歴史学的証明と法律実務家の機能ー
鑑定書と判決書を読むに当たって
A. 事例の概要
B. 亡米田三吉 精神状態鑑定書
1. 鑑定事項
2. 親族関係等
3. 三吉の病歴
4. 考察と説明
5. 鑑定主文
C. 判決
1. 主文
2. 事実及び理由
D. 事例1の考察
1. 判決理由の概要
2. 過去の精神能力の鑑定
3. 展望的鑑定と回顧的鑑定
4. 法律実務家の遺言能力の認識および診察のない精神鑑定
2 鑑定人もする判決批判ー被告が“事実認定”した症状 公証人の認否問が作る遺言ー
適正な事実認定のために
A. 事例の概要
B. 一審判決
C. 亡板垣孝司 精神状態鑑定書
1. 鑑定事項
2. 当事者の家族関係等
3. 本人歴(現病歴)
4. 説明と考察
5. 鑑定主文
D. 亡板垣孝司 鑑定書補充書
E. 二審判決
F. 事例2の考察
1. 裁判の過程
2. 認知症と意識障害
3. 公証人の役割
3 鑑定人の行う歴史的証明ー鑑定人ではなく鑑定意見を評価ー公証人の役割と現状ー
事実認定の究極へ
A. 事例の概要
B. 亡桐野貞夫 精神状態鑑定書
1. 鑑定事項
2. 家族関係
3. 本人歴(病歴)
4. 説明と考察
5. 鑑定主文
C. 鑑定に関する補足説明
D. 一審判決《養子縁組》
E. 一審判決《遺言》
F. 亡桐野貞夫の精神状態に関する補充鑑定
1. 鑑定事項
2. アンモニア数値と肝性脳症との関係
3. 鑑定人の見た桐野貞夫の病状経過
4. 意識障害と精神医学
G. 鑑定主文
H. 二審判決《養子縁組》
I. 二審判決《遺言》
J. 事例3の考察
1. 鑑定人と裁判官の事実認定
2. 鑑定人と裁判官の事実認定を巡る切磋琢磨
3. 公証人の役割と現実
索 引
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