一九六三年、国際精神分析協会の決定によってラカンは訓練分析家の資格を剥奪された。この破門以来、ラカンは精神分析の「大義」を賭けた闘争に身を投じていく。本書では精神分析運動の政治史を読み解きながら、ラカンの思想と実践に迫る。精神分析の根源にあるフロイトの「症状」をどう解釈するのか、その実践はいかなる制度的枠組みによって可能となるのか。--立木康介氏、松本卓也氏推薦。
はじめに
I フロイト的無意識からラカン的無意識へ
第1章 フロイトへの回帰とシニフィアンの純粋論理
1 精神分析の主体と真理への問い
2 原父殺害の神話とその謎
3 エディプスと去勢の再定式化(1)
4 エディプスと去勢の再定式化(2)
第2章 欲望と享楽の倫理学
1 『快原理の彼岸』から『精神分析の倫理』へ
2 法の分裂から倫理的経験へ
3 道徳法則と享楽する〈他者〉
4 幻想と主体の分裂
5 超自我をめぐる新たな問い
II 精神分析運動の再開
第3章 言語の裏面としてのトラウマ
1 真理概念の変容
2 原因とトラウマーー事後性の論理(1)
3 原因と起源ーー事後性の論理(2)
4 失われた現実と分析経験の地平
5 歴史的真理と現実界
第4章 フロイト神話に抗する闘争
1 捻れた因果性と分裂した主体
2 精神分析の大義とフロイトの欲望
3 起源の神話から知の発明へ
第5章 知の歴史に対峙する精神分析
1 主体の科学としての精神分析ーーコギトと知を想定された主体
2 哲学の症状としての精神分析ーーカント、ヘーゲル、マルクス
3 知と真理の分離と四つのディスクール
4 真理の排除から去勢の排除へ
III 精神分析と政治
第6章 もうひとつのファシズム、もうひとつのレジスタンス
1 ラカン派のトラウマと精神分析理論の政治的次元
2 制度化の根源としての隔離
3 分析主体としてのフロイト
4 精神分析家の欲望をめぐる問い
第7章 「六八年五月」の夢と現実
1 未完の革命
2 集団のみる夢とその解体
3 街頭、構造、市場
4 出来事のなかの精神分析家
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