【POD】近代イギリス文学の忘れられた名作シリーズ(5)
いずれの国でも時が経てば、いくら傑作であっても忘れられて行く名作があるものである。出版された当時は名声を誇ったが、時代の流れには勝てずに、流れに没して消え去って行く運命にあるものもある。本の命も、燃え上がった恋に似ている。だが、筆者は時の流れに没していった名著を今一度復活させて、陽の光に輝かせたいという思いから、それらを発掘し蘇らせることに残り少ない余生を捧げることにした。誰かが語り継ぎ、歌い継ぎしていかないと、命あるものはすべて滅び去るのがこの世の習いである。筆者が取り上げた作品が今でも読者の鑑賞に堪える名作であるか否かは、お読み頂いた上でご判断を願いたい。筆者としては、懸命に復活に努力を傾けた積りである。 すでに出版された第1巻、第2巻、第3巻及び第4巻に続いて、ここにシリーズ第5巻目を読者に提供したい。今回取り上げた作品数は前巻よりも1編少なく2編となっているが、その割にはこれまでのシリーズのどの巻よりも頁数が増えている。それは元の作品がそれだけ複雑であり、それに比例して粗筋と解説に費やす頁数が多くなっているからである。あるいは解説者の熱意が嵩じたせいでもある。2作とも女流小説家の手になる物で、1つはシャーロット・ヤングの小説『レッドクリフの遺産相続人』と、もう1つはエレン・ウッドの小説『イースト・リン』である。これらはオックスフォード・ワールド・クラシックスの出版リストに今でも上げられている、ヴィクトリア朝前期の名作であるが、果たして現在読まれているかどうか、心もとない。今一度読み直されんことを願って取り上げた。いずれも読者の側に深い精神性を要求する作品であることには間違いない。一人でも多くの読者が読まれんことを切に願う。
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