「こころ」という小説は,「私」がいつ,だれに向けて書いた作品なのか.日本近代小説の中で最も読まれているテキストの中の古今東西の様々なイメージを丹念に拾い上げ,浮かび上がってくる「こころ」の謎を読み解く
小説誕生前夜
沈黙する主人公
「私」は,いつ語り始めたのか
邂逅への衝動
墓石に刻まれた暗号
恐怖と畏怖
罪と恋
思想家の自信
「将来」を感じる
最初の手紙
先生の故郷
一点の燈火
蟬の予告
兄の叱責
人生の暗示
亡き者からの促し
記憶を生きる
花と愛
聖なる愛
直覚の人
自分を破壊しつつ進む者
求道者の恋
道化の出現
取り違えられた覚悟
怠惰という裏切り
黒い光
空白の時間
生の誇り
庇護者の誤認
あとがきに代えてーー『こころ』に刻まれたもう一つの道
レビュー(5件)
少しずつ読んでいます。若松先生の文章は、大事に噛みしめながら読むのがいいと思っています。 「こころ」は高校の現代文の定番です。私も、かつて高2で半年以上かけて全文を読みました。 「先生」はなぜ死を選んだのか…。クラス全体が不思議なカタルシスに包まれたあの時間を、今でも忘れはしません。 何十年もたち、改めて「こころ」を開くと、あの頃とはまた違った世界が見えてきます。 読み手の味わった人生のヒダが、さらに作品の味わいを増します。 こうして何度でも、いつでも読者に新しく問いかけてくれる「こころ」は ずっと高校の定番であってほしいと思います。