人類は、近代科学技術という鋭利な手法を手にし、「生じた問題は元を断てば解決が可能」という思考方法が染みついてきた。しかし、こうした思考からは、「共生の生態系を営む生命」という観点は二の次にされ、その結果、排除される要素のトータルな役割に目配りできずに来た。しかし、近年の情報処理技術を背景にした各種生物のゲノム解析を始めとする分子生物学的手法は、飛躍的な進展をとげてきた。遺伝子レベルでの宿主と共生微生物との進化学的関連や役割分担の知見が積み重ねられ、“悪役”視されてきた微生物の隠された正の役割りやそれらの進化学的背景も解き明かされるようになってきたのである。
本書は、そうした立場でつづられた、きわめてイノベーショナルな著作であり、従って、ポストコロナ時代をどう展望するかという困難な問題に向き合う上でも貴重なヒントを与えてくれよう。
第1章 微生物に満ちあふれる地球
第2章 生命進化最初の30億年 -- 単細胞微生物の時代
第3章 動物と微生物の関わり
第4章 腸内細菌叢
第5章 「脳 - 腸 - 微生物叢」相関
第6章 腸内微生物叢と免疫系の働き
第7章 共生微生物と宿主のせめぎ合い
第8章 生物が陸上に進出するにあたって共生が果たした役割
第9章 反芻動物と共生微生物
第10章 昆虫の共生微生物
第11章 発酵食の歴史
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