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はじめに 第1章 科学の時代の非合理主義──第一種疑似科学 1 占い、超能力・超科学、疑似宗教 占い系/超科学系/超能力系/疑似宗教系/アメリカの疑似科学 2 第一種疑似科学の特徴 疑似科学は反証できない/ 「ウソと言うなら証明せよ」/偶然の過大評価/疑似科学の罪 3 超常現象の心理学──なぜ信じてしまうのか 超常現象を信じる心/知覚エラー/記憶エラー/思考バイアス/判断エラー/共通する心理作用 第2章 科学の悪用・乱用──第二種疑似科学 1 科学を装う手口 「科学的」に見せる/水ビジネス/社会に認知されている疑似科学/物理用語のイメージ/DNAが決める運命/権威づけを怠りなく/わかりやすい説明/技の複合 2 第二種疑似科学の内幕 科学の法則違反/プラシーボ効果/科学的根拠薄弱/統計の悪用/確率による騙し/数字のマジック/相関関係を因果関係とする誤用 第3章 疑似科学はなぜはびこるか 1 科学へのさまざまな視線 科学と科学者への失望/すべて「お任せ」の態度/技術による道徳の代行/現代の神話 2 自己流科学 科学への偏愛/インターネットの隆盛/健康ブーム/テレビの影響 3 科学と非合理主義 ポストモダニズムとニューエイジ・サイエンス 第4章 科学が不得手とする問題──第三種疑似科学 1 複雑系とは何か 要素還元主義の限界/複雑系のふるまい/人間の関与 2 地球環境問題の諸相 地球という複雑系/異常気象は温暖化のせいか?/二酸化炭素は悪者か 3 複雑系との付き合い方 「科学的根拠なし」の言説/未成熟科学の見守り方/予防措置原則 4 予防措置原則の応用 地球環境問題の否定派と肯定派/地震は予知できるのか、できないのか/狂牛病の「プリオン説」は正しいのか/電磁波は危険なのか/疫学は信用できるのか/遺伝子組換え作物は危険なのか 終章 疑似科学の処方箋 1 疑似科学は廃れない 2 正しく疑う心 3 疑似科学を教える 4 予防措置原則の重要さ 5 科学者の見分け方 参考文献 あとがき
レビュー(62件)
欲しかった内容のものがすぐにあったので、大変助かりました。
抑制が効いていて、科学者が書いたらしい真面目な本です。さまざまな事象について広く触れています。上品な本なので、例えば「と」本で疑似科学に興味を持ったというような人には、少し刺激が足りないかもしれません。
空想科学読本
疑似科学の定義が秀逸、でも新書のページ数だとこんなもん、って感じでした
擬似科学を3種類に分けて解説し、擬似科学は廃れる事がないから正しく疑う心と予防措置原則であたる事の重要性を訴えている。占い系、超能力、超科学系、擬似宗教等を扱った第一種疑似科学、科学の名前をつけながら、科学的根拠が無いものをビジネス的に結びつける第2種疑似科学、まだ科学的に証明し難い複雑系が絡んだ、環境問題、遺伝子組み換え、地震予知などの第3種疑似科学に分かれている。第1、第2疑似科学については、今まで多くの本が言われてきた事と本質的には相違は無い。ここでは第3種疑似科学と擬似科学の処方箋を読む価値があると思う。良識的であり、この種の問題の見方を教えてくれる。
学者が書いているのに…
最初から「疑似科学=悪意」という図式で割り切れる人ならば、この本は痛快に読めるに違いありません。疑似科学のインチキとそれを利用する人の悪意をとことん述べた本です。 たしかに「占い」とか「磁気」など、明らかに怪しい商売や商品があり、金儲けに利用されています。 ただ、「科学的に証明されていないものだから疑似科学だ。すなわち悪だ。」という論調には、中立的な立場で読もうとすると、ついていけないものを感じます。中には学者の言うことを信じてほかの人にも良かれと思って広めようとした人もいるでしょう。そのような機微に全く触れられていず、最初の「疑似科学=悪意」の図式だけで論を進めていくのが果たして正しい立場なのか、疑問を感じました。 もっといろいろな立場から十分取材し執筆すべきでした。そうすれば、肝心なところで「~であろう」「~だからに違いない」「~と推測できる」などという推論に終わることはありませんでした。十分な根拠をバックに、謙虚に持論を展開し、万人が納得できるような立派な書になったでしょう。