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日本人は「物事をはっきり言わない」「自主性がない」などと非難されることが多い。だが韓国出身の比較文化学者である著者はいう。むしろ曖昧だからこそ、日本は世界有数の安全で豊かな国になれたのだ。これからは世界全体に、調和がとれた人間関係、環境への順応性を生み出す「曖昧力」が求められる時代になるだろう。▼では、日本人の曖昧さはなぜ生まれたのか? 微妙な歪(ゆが)みを愛する美意識の源泉とは? 本書では日本文化、日本人の精神性の本質に迫り、以下のようなテーマをとりあげる。▼◎日本人はなぜ旅に出るのか ◎「美の大国」日本はいかにして生まれたか ◎なぜ日本人は穏やかなのか ◎なぜ日本庭園にいると想像が膨らむのか ◎なぜ日本には武士が生まれたのか ◎天皇はいかにして日本社会に平等をもたらしたのかetc.▼拓殖大学で超人気の多国籍講義を紙上再現! 日本の強さと美しさの謎を明かす知的興奮の一冊。
レビュー(17件)
日本の良さ日本人の良さを気付かせてくれる
韓国では物事の白黒をはっきりさせる、形などでは左右完全対称を求める、色では刺激のある目立つ色を好むなどの傾向が強いようで、それは欧米でも同様なのでしょう。しかし日本人は物事に曖昧さを持たせる、茶器のようにどこか歪んだような形に惹かれる、色はケバケバした色より穏やかな色合いを好むなどの傾向がある、著者は長年の日本生活から母国韓国と日本との違いを肌身を持って体験し且つ研究しておられます。そして日本人の「良さ」を見つけ出し、その良さが決して独りよがりで井の中の蛙などではなく、世界に誇れる良さであると言っておられるようです。著者は韓国に居た若い頃には反日教育を受けて育った人ですが、日本への留学を契機にかつて教わったことと現実の日本との違いに苦しみ、悩み、ついには韓国で教わった教育が間違っていたことに気付き、今では日本人以上に日本人の良さを理解しておられる存在になられたようです。ぶ厚くなく、読み易く、日本人に対する優しさが感じられる良い本です。著者は帰化されて現在は日本人になられました。
自覚の再確認
日本とは何か、日本人とは何かを、一神教世界、ローマ文明、司馬遼太郎、宮崎駿の世界から辿り着いた自覚があるが、呉善花さんの外から観た日本、日本人で確認することができた。参考になる!
呉善花
日本をより知るには呉善花さんの本が一番です。
曖昧とは・・・
何となく「曖昧は悪い」と、思ってきましたが、よく考えれば軋轢を無くし融合させる過程として重要な要素だと気付かされました。「玉虫色の決着」というのも、考えてみればファジーな未来が開ける可能性を秘めています。韓国人の呉善花さんだから気付いた事が多く、日本人であればさして気に留めない(気付かない)事が面白く書かれています。日本の歴史研究により「世界で一番安全で平等な国を築いた国」への考察は一見の価値が在ります。
ある外国人の目線
ここまで日本を研究し、評価してくれる韓国人を私は知りません。多くの日本人よりも日本の良いところを熟知している人だと思います。願わくば、多くの外国人、そして日本に失望している日本人の方々に読んで欲しいと思います。気軽に読める内容とボリュームですので、通勤時間中とかの読み物にいかがでしょうか?