蛮襟(バンカラ)VS 高襟(ハイカラ)の仁義なき戦い
岡倉天心の言葉「芸術は気魄の発露である」。そこに示されるような「志士豪傑」「国士」の気質が、なぜ画家に求められたのか?また、彼らはなぜ徒党を組んで無茶な旅をしたのだろうか?大観は日本を一等国にすべく修行に励み、未醒は伝統復権に邁進した。忠君愛国の画業へと彼らを突き動かしたものはなんだったのか?
明治という時代は、西洋文化に心酔するハイカラと自らのナショナリティを重視するバンカラの軋轢でもあった。日本国民の無意識を掬いとったともいえる大観と未醒の画業。当時の価値観に近づくことでその光と影をみつめる。
はじめにーーーーー大観と未醒を「バンカラ」で括る
第一章 画壇の快男児、大観と未醒ーーーーバンカラな側面
1 「酒豪画家」横山大観
岡倉天心の酒修行/院歌「谷中鶯」
2 「バンカラ画伯」小杉未醒
「未醒蛮民」/従軍/「当代の高士」
3 画家たちの奇行
飲酒武勇伝
第二章 ハイカラとバンカラーーー近代を支えた両輪
1 「ハイカラ」の初出
西洋崇拝とハイカラ/嫌われるハイカラたち
2 ハイカラの性格分析
「星よ菫よと、だらしのないこと」/ハイカラは「国賊」、「バンカラ」の登場
第三章 バンカラ気質とはーーーーー愛国志士の系譜
1 新時代への進取の気
大観の画学生時代/未醒の画塾生時代
2 バンカラの肖像ーーー弊衣破帽の快男児
書生という世態風俗/壮士
第四章 バンカラな旅ーーーー明治の弥次喜多
1 徒歩旅行のすすめ
無銭旅行か風流旅行か/文士の風狂旅行
2 画家たちの絵行脚
大観の気侭時代/未醒の漫遊案内
3 胆力養成の旅
天狗倶楽部のバンカラ旅行と未醒
第五章 バンカラ、世界へ雄飛ーーーー「世界の一等国に位せん」
1 破天荒な世界旅行
明治三〇年代の冒険者たち/「世界的大競争」
2 大観の外遊
「日本画」西へ行く/西欧美術の価値は零である
3 未醒の外遊
洋行とはつまらぬものである/望郷、そして伝統回帰
第六章 バンカラ主義を掲げた若者たちーーー明治末の悲憤慷慨、武侠精神
1 『冒険世界』のバンカラ
「煩悶」青年の否定/志気を鼓舞する冒険指南/未醒と『冒険世界』
2 バンカラの千姿万態
「大陸的壮士風」押川春浪/「蛮骨化身」吉岡信敬
第七章 大観と未醒の明治以降ーーー「新日本の芸術樹立」
1 大正弥次喜多旅行
大観・下村観山・今村紫紅・未醒の東海道旅行/大観と未醒の交流
2 「和紙」の誕生
和紙と日本画の出会い/和紙も世界へ
3 大観と未醒の東洋的日本的
大観の「高邁の気」/未醒の「幾千年来父祖の血肉の伝統」
おわりにーーーーー大観、未醒と「日本画」
主要参考文献
あとがき
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