〈秀吉の死から、関ヶ原合戦、大坂の陣へといたる「慶長」という時代の20年間を、京都の公家や僧侶の日記などの同時代史
料から再検討〉〈京都東山に造立された大仏(大仏殿と本尊)の変遷を追うことでうきぼりとなる、豊臣と徳川との関係〉
20年続いた慶長年間(1596〜1615)は、豊臣政権から徳川政権へ移行した時期で、日本史上のターニングポイントといえる時代です。この時代は、関ヶ原合戦から大坂の陣へ至る「戦間期」ととらえられたり、自由であった民衆の世界が強化される封建制のなかに閉ざされていく時代ととらえられることがありました。しかし、同時代の史料(公家や僧侶の日記など)からはそうしたことは読み取れず、むしろ過ぎ去ろうとしない戦国の記憶、秀吉の治世のレガシーへの拒否感、その被害を最小限に抑えてくれるかもしれない徳川への期待などが垣間見えます。あえて武家側からの視点とは距離をおき、京都東山に造立された大仏(大仏殿と本尊)の変遷を座標に据えて、慶長時代を再検討します。
レビュー(2件)
河内氏独特の視点からの解説が面白い一冊。比較的メジャーでありながら実態が掴みづらい慶長年間の軌跡を知ることができる良著。河内氏の分析を基に読者個々が様々検討を加えて楽しんだりするのも、歴史を学ぶ醍醐味だと思う。また、京都の史跡1つ1つに当時の人々の思いや事績が宿っていることを改めて実感。この書籍と併せて同著者の「秀吉の大仏造立」「落日の豊臣政権」を読んでおくと一層本書が満喫できると思う。河内氏には今後もこの時代の著作を出版してもらい、私たちに様々な知識を享受してほしい。