【輸入盤】『アフター・アワーズ』 フォーレ四重奏団
新作「過去11年間」では「グレの歌」の面影も
「アフター・アワーズ」
フォーレ四重奏団
アルバム・タイトルの「アフター・アワーズ」とは、一般的には「仕事を終えたひととき」のことを意味します。ということは演奏家である彼らの「仕事」が演奏会の「メイン・プログラム」と考えると、このアルバムの内容は「アンコール集」ということになり、実際、ほとんどの曲はアンコールにふさわしい良質な小品です。しかし、アルバム中央には22分を超える曲が置かれているので、単なる小品の羅列ではありません。
もっともその22分の曲のタイトルは「過去11年間」というものなので、「仕事を終えたひととき」の前提条件である「仕事」を象徴する存在として登場させたのかもしれません。
構成は以下のような感じです。
◆ 4曲のピアノ四重奏小品が約15分間
◆ クラリネットとピアノ四重奏の「過去11年間」が約22分間
◆ 3曲のピアノ四重奏小品が約10分間
◆ 3曲の声楽&ピアノ四重奏小品が約11分間
豪華なゲスト
ゲストのクラリネット奏者はウィーン・フィル首席のマティアス・ショルンで「過去11年間」で熱演。ソプラノ歌手は世界的に活躍するアネッテ・ダッシュで、フランス語、英語、ドイツ語により3曲のアンコール・ピースを歌っています。
思考誘引系アンコール集
チェリビダッケのように音楽の絶対的なエッセンスを提示したいと語るフォーレ四重奏団は、今回のアンコール集でもいろいろと考えをめぐらせる楽しさを提案しているかのようです。
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作品情報◆ リーヒマキ:「タンゴ・フォレレ」 (トラック1) [6:19]
2010年作曲。リーヒマキ36歳。中間部の美しさが印象的なピアノ四重奏曲用のタンゴ室内楽。ベルリン在住の作曲家、編曲家、ピアニストのリーヒマキは、1974年に両親とも合唱指揮者というフィンランドの家庭に誕生。5歳でチェロ、6歳でピアノを始め、シベリウス・アカデミーに入る前にすでにオルガンも弾いていました。クラシックや現代音楽だけでなくジャズやテクノの理論も学び、映画から大きなインスピレーションを受けるというリーヒマキの作品は、多分野との交流を反映し合唱曲からタンゴまで実に多彩です。
◆ ドヴォルザーク:「母が教えてくれた歌」 (トラック2) [2:56]
1880年作曲。ドヴォルザーク38歳。チェコを領有するオーストリア政府からの作曲の奨学金(賞金)を連続で獲得してまともに暮らせるようになったドヴォルザークからは旋律があふれ出るかのようで、同時期にヴァイオリン協奏曲も作曲していました。
オーストリア帝国ではマリア・テレジア[1717-1780]以降、ロマへの迫害行為が禁じられ、同化政策も積極的におこなわれていたことから、1世紀ほどはチェコでのロマの待遇も改善されていましたが、19世紀末にチェコ民族運動が盛んになると共に、ロマはチェコでは再び迫害の対象となっています。
ドヴォルザークと同世代の詩人ヘイドゥクが、公用語のドイツ語と地元のチェコ語で出版した詩に付曲したこの歌曲集が書かれたのは、そうした迫害が本格化する前の時期だったので、ロマの喜びや悲しみが情感豊かに描かれており、特にこの第4曲は感動的な音楽となっています。
作品の知名度が世界的なものになったのは、ドヴォルザークの死後のことで、フリッツ・クライスラーが頻繁に取り上げるようになってからです。出版は1914年、クライスラーが39歳の時。クライスラーは言葉の無い器楽で作品の内容を伝えるべく思い切った強調表現もおこなってドラマティックな効果を生み出しています。
フォーレ四重奏団はクライスラーのヴァージョンからピアノ四重奏用に編曲しており、コントラストも鮮やかな仕上がりです。
◆ タンスマン:「スケルツィーノ」 (トラック3) [1:28]
1929年作曲。タ
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