水のように生きる─-。
人生のはかなさや自由なあり方など、様々に喩えられる「水」。
儒教の経典や諸子百家の著作の「水」に関する記事から、中国古代の人々が「水」をどのように捉えてきたかを明らかにする。
「水泡によって人生の悲観を表現することは、かならずしも本流に属することではなかった。そうした悲観的な思想は、三世紀から六世紀にかけての六朝時代に流行した宿命論を経過し、また仏教を受容した後の思想なのである。それより古い中国の思想は、水(川)を見て、もっと積極的な想念を得ていた。たしかに、黄河や長江のような大河を前にすれば、ちまちました悲観は消し飛んでしまうかもしれない。本書では、そうしたことを、まず中国思想を代表する孔子の思想に見て、さらに孔子の思想を発展的に継承した者として孟子を始めとする儒家の思想家たちの考え方に即して考えてみた。読者は、そこに中国思想独特の展開があったことがわかるであろう。ついで儒家と並んで、もう一つの中国思想を代表する思想家として道家の老子の思想を取りあげ、さらに、老子の思想を発展的に継承した荘子や『淮南子』の思想を眺めてみた。これらは日本人の精神史にも深くかかわる思想である。」(「はじめに」より)
【目次】
はじめに
第一章 儒家と道家の水の思想
第一節 儒家の水の思想
第二節 道家の水の思想
第二章 諸子の書などに見える水の思想
第一節 『墨子』-戦争と水
第二節 『荀子』-水は努力・人民・始原の象徴
第三節 『呂氏春秋』-水徳王朝の理論から水の俚諺まで
第四節 『管子』-統治の原理と河川の管理
第五節 『列子』-水の寓話と道の思想
第六節 『韓非子』-戦争の手段、為政の戒め
第七節 『淮南子』-水の思想の宝庫
第八節 『説苑』-統治術に関する教訓
第三章 経書に見える水の思想
第一節 『周易』-水にかかわる占断
第二節 『尚書』-大川を渡る困難の比喩と実際
第三節 『詩経』-詩歌の舞台となった河川
第四節 『周礼』-川沢や水路の管理と官職
第五節 『儀礼』-士から王までの各種の儀式
第六節 『礼記』-礼の細則や理論
第七節 『春秋左氏伝』-大川、大水、大雨、大?の記事
第八節 『爾雅』-水にかかわる語彙の解説
注
図版一覧
『中国の水の思想』初出一覧
あとがき
※姉妹書『中国の水の物語 神話と歴史』
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