【POD】はじめての内観療法ーあなたの人生を変える3つの問いかけ
3つの問いかけで、自分を変える方法!
「内観療法」で心と対話をすると人生が変わる
うつ病、ひきこもり、摂食障害など、生きづらさを抱えている人は多い。「自分は大丈夫」と思っていても、深刻な状況になってしまう場合もあるだろう。本書は「自分の心と対話する方法」として開発された、精神療法「内観療法」について記された、内観療法の入門書である。
生きづらさを抱えている人を前向きにする「内観療法」
内観療法とは、「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」を思い出し、その人の言動に変化をもたらす精神療法だ。吉本伊信 内観療法には集中内観と、日常内観がある。どちらも3つのテーマに沿って想起していくことは変わらない。日常内観は日常の中で行えるが、集中内観は専門施設に入り1週間寝泊まりしながら実施する。
内観療法は家族に介護が必要な人や障害者がいるご家族の方や、非行・犯罪からの回復支援、アルコール依存症などの治療に用いられている。
本書は内観療法がどのように活用されているのか、事例や実践する方法などが克明に記されている。
本当に3つのテーマを想起するだけで、人は変われるのか?
3つテーマについて過去のことを思い出すだけで、生きづらさが緩和されるなんてそんなことはあるのだろうかと疑問に思う人もいるだろう。
しかし本書を読むと、疑問が解消されるはずだ。たとえばいじめを受けたことで、自宅にひきこもり、家庭内暴力やリストカットを繰り返す境界性パーソナリティ障害の女性の事例が掲載されているので、概要を紹介しよう。
集中内観1日目。多くの場合、内観療法では「母親」についての内観から入るケースが多いようだ。この事例も母親に「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」について思い出すことから始まった。
内観をすることで女性は、母親の愛情の深さに驚き、これまでしてきた母親に対する自分の態度の悪さに怒りを感じるようになったという。
2日目には、確執のあった父親に対しての想起も行われ、父親に対して尊敬の念を抱くように。
6日目には、いじめられていたことにこだわっていた自分に気づき、長年自分を苦しめていたのは、自分自身の性格によるものだと内観する。
内観最終日には「今後は両親と穏やかに暮らし仕事を見つけて自立したい」「日常内観も続けていきたい」と、前向きな気持ちに変化している。
集中内観後は、通院し経過観察を行った。集中内観から1〜2カ月後までは、両親に対して攻撃的な言動が見られた。だが徐々によい方向に向かい、2年後には通院治療も終了。気持ちの切り替えが自分自身でできるようになり、仕事に出ているという。
感謝の気持ちが人を変える
本書を読み進めていくと、心が疲れているときに、人はいかに他人からしてもらったことに目を向けられなくなるか痛感する。
「いじめられたから、不登校になった」「両親の育て方が悪いから、こんな人間になった」などと相手を責めても、気持ちが暗くなるだけだ。やさしくしてくれた人のことを思い出し、感謝の気持ちを持てば自然と前向きになれる。本書は、内観療法のやり方などはもちろんだが、感謝を持つことの重要性も再認識できる本である。
文・夏野久万
[著者プロフィール]
笹野 友寿(ささの・ともひさ)
川崎医療福祉大学教授。医学博士。精神保健指定医。
日本精神神経学会精神科専門医、同指導医。日本内観学会認定医。
1955年、岡山県生まれ。愛媛大学医学部卒。
研修医時代に、内観の創始者である吉本伊信師の指導のもとで集中内観を体験する。
川崎医科大学精神科学講師、川崎医療福祉大学助教授などを経て現職。また現在、社会福祉法人旭川荘で診療を行い、日本内観学会理事、岡山いのちの電話協会スーパーバイザーを務めている。
内観療法に関する著書として、『内観療法ー漂流する現代人への心の処方箋』(作品社)、『内観療法の実践』(芙蓉書房出版)などがある。
レビュー(0件)