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超高齢社会を迎え、医療費・介護費の膨張には歯止めがかからず、今や世界に冠たる国民皆保険制度は風前の灯火。ところが医療関係者や製薬企業などの“専門家”は、古い制度や体制に守られ、同時に縛られ、「沈みゆく豪華客船」の中での席取り合戦に終始するばかり。 この苦境を乗り切るため、現役官僚の著者は、社会・経済システムの見直しによる「生涯現役社会」の創設を説く。社会全体が変わる中で初めて持続可能な社会保障制度の構築が可能になるという。前途多難に違いないが、関係者がより広い視点から問題を捉えて行動することができれば、誰一人切り捨てることなく国民皆保険制度を維持する道が見えてくると主張する。 著者は実際にこれまでも、業界内では「不可能」と考えられていた数々の課題に、“部外者”の視点から切り込み、改革を成し遂げてきた。その経験から、絶望するのは、まだ早いと説く。著者が思い描くのは、次世代に残すべきこの国の未来であり、世界が羨望と畏敬の念を持って見つめる「憧れの国」日本の姿だ。 第一章 問題の本質を問い直す 1 私たちは何を間違えているのかーー高齢化は対策すべき課題なのか 2 何を守り、何を変えるべきかーー日本の国民皆保険は奇跡の制度 3 私たちは何に対応しなければならないのかーー疾患の性質変化を踏まえて 4 何を実現すべきなのかーー役割と生きがいを持ち続けられる社会へ 第二章 時代に合わなくなった社会保障制度 1 社会保障制度見直しの視点 2 糖尿病ーー不摂生は得? 生活習慣病を容認する制度 3 がんーー誰のための、何のための治療なのか? 4 認知症ーーお年寄りの役割と自由を奪うことで作られる 5 処方箋ーー患者をもっと幸せにするために 第三章 社会は変えられる! --時代に合わない「制度」、業界の「常識」への挑戦 1 社会の変化に対応できるか 2 おかしいことはおかしい! 3 流されてはならない 4 誰かがやらなければ 5 そこに課題があるなら 6 交渉とは闘うことではない 第四章 世界が憧れる日本へ 1 お年寄りはもっと幸せになれる 2 民間保険で人生を豊かに楽しく 3 健康を楽しくおいしくするヘルスケア産業ーー健康は我慢することではない 4 企業文化の転換ーー真の働き方改革に向けて 5 地域包括ケアがめざすべきものーーお年寄りの笑顔が溢れる街づくり 6 生きがいの場としての農業ーー大規模化・効率化は本当に必要か? 7 「サ高住」から「シ高住」へーー誰もが役割と生きがいを持てる暮らしを 8 人生の完成に向けてーードラマの最終章はハッピーエンドで
レビュー(13件)
現状を打破できそうな気持になる一冊
著者の江崎様が岐阜県知事候補ということもあって拝読させていただきました。現在の日本社会が抱える諸問題の根っこの部分を明らかにし、それらへの対応方針まで示されています。後半は実際に今まで関わった諸問題への取り組み内容を述懐されていますが、困難であればあるほど突き進む姿勢にも感銘を受けました。閉塞感の漂う現状を打破できそうな気持にさせてもらえる一冊です。
感動
お役人らしからぬ血も涙も感じさせる人柄と、行動力に感動しました。部下にも一読を勧めました。多くの日本人が読んで、応援してくれることを期待。 著者の今後の官僚人生での活躍に注目し、期待します。
内容が医療、社会保障の見直しに関する記述だったのでプロパーの厚労省官僚が著者かと思ったら経産省だったんですね。確かに業界、政治家とのしがらみにどっぷり浸かってしまっているプロバー職員よりも他省庁の官僚のほうが改革は進めやすいかも。しかし、この国の制度は高度成長期の制度から見直しが進まなすぎでは。前例踏襲からの脱却がこれからのカギですね。