『和名類聚抄』は日本最初の分類体の漢和辞書、平安時代の承平年間に醍醐天皇皇女勤子内親王の命によって、源順が撰進したものである。『和名抄』に引用される文献は、漢籍・和書・仏書合わせて三百数十種にのぼるが、なかには仏教類書『法苑珠林』から引用したと思われる十一項が存在する。これらの十一項目は1雀頭香2浅香3鶏舌香4青木香5零陸香6兜納香7迷迭香8流黄香9兜末香10艾納香11蘇合香である。この十一項目は出典を『江表伝』『呉時外国志』『広志』『魏略』『南州異物志』『漢武故事』とするが、これらの書物は早く散佚し、『和名類聚抄』の撰者源順が直接参看したとは考えにくい。文章の酷似性から見て、『和名抄』はこれらの本文を『法苑珠林』から間接的に引用していることが想定される。本書は「『和名類聚抄』引用書目の研究」と題して、『和名抄』の十巻本系調度部薫香具・廿巻本系香薬部香名類に集中的に引用されている書目『江表伝』『呉時外国志』『広志』『魏略』『南州異物志』『漢武故事』と『法苑珠林』の比較研究を行い、『和名抄』における『法苑珠林』の受容を指摘し、その引用の様相を明かにする。
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