本書は、ロールシャッハ図版に映し出された認知症の世界を発達臨床心理学の立場から理解し認知症高齢者への関わりの糸口について考えたものです。ロールシャッハ法とは、あいまい刺激図版への反応から対象者の環境認知と情報統制、反応様式を理解する臨床心理学のアセスメント技法のことです。有吉佐和子による『恍惚の人』の出版により認知症が注目され始めた1980年代当初から、著者はロールシャッハ法によって認知症の世界を理解する取り組みを続けてきました。その研究成果を集約させたのが本書です。認知症との診断のない高齢者と認知症高齢者との比較研究、認知症の進行によるロールシャッハサインの変化、認知症の病型による比較研究に加え、児童の反応についても発達研究を行いました。それらを通して、認知症高齢者に保持される人間親和性と主観的世界、現実との関わりの特異性を考察しモデルとして提示しています。
はじめに
序章
第1部 高齢期の心理学研究に関する文献研究
第1章 高齢期の心理学研究
第2章 高齢期の「認知症」研究と「認知症高齢者」研究
第3章 高齢期の臨床心理学的研究
第4章 ロールシャッハ・テストによる認知症高齢者の心理アセスメントの可能性
第5章 高齢期発達臨床心理学の課題と本書の目的
第2部 調査研究
第6章 調査の概要と方法
第7章 正常高齢者と認知症高齢者のロールシャッハ反応
第8章 縦断研究:認知症高齢者の経年的変化
第9章 高齢期のロールシャッハ・テストに現れる人間反応
第10章 脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症のロールシャッハ反応の差異
第11章 発達研究:幼児と高齢者の比較検討
第12章 結論:認知症高齢者の自我機能とその発達的考察
引用文献
おわりに
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