「草屋根の家」の美しい姿を追い続けた画家が、古きよき民家を求めて北海道から九州まで日本各地を旅して出会った風土や人々。「民家の向井」と呼ばれた画家、向井潤吉は「二十世紀」と同時に生まれ、戦後の高度成長と並行して活躍した。誰もが新しさを求め、古いものを壊し捨てた時代に、独り「日本美」を画面に定着させようしたようにみえる。絵画制作のかたわらに綴ったエッセイの数々は、草屋根の民家の絵とともに、かつて日本人がもっていた豊かさを知ることのできる貴重なドキュメントとなっている。
草屋根と絵筆 目次
はじめに
序として 民家の美しさ
日本美 道具を背にして
石狩から知覧まで 冬から春が一番
第1章 若き日のこと
祇園と私 小学生の頃 大仏殿と祖父
歩く楽しみ 軍隊時代 大震災の日
大原春秋 私の油絵事始め
わが師は── 素描というもの
第2章 模写修行とヨーロッパの日々
旧作・回想・今日 貧乏讃
模写寸話 パリ、テンヤワンヤ
第3章 戦時中のこと
従軍画家私義 従軍三百日
緬印国境にて 小さい感慨 葦平さん
第4章 民家を描く旅
よみがえる民家 私のモチーフは破壊される
北海道、東北、越後
北海道を往く 東北へ
再び東北から北越へ 東北行
佐渡寸旅 日本海に沿って
信州、北陸、東海道
馬籠と妻籠宿 信州点々
五箇山へ 飛騨白川村
九頭龍上流 大野町、三方五湖
東海道今昔 若狭路の旅愁
思い出の花見 海女集落を描く
畿内、西日本
近畿ところどころ 大原と嵯峨
雪の大原 早春の嵯峨野
丹波往来 丹波の秋
京都素通り 京の鬼門
武蔵野
武蔵野雑観 さらばわが武蔵野よ
第5章 雑感
素描小感 身辺有事無事
遙かなる冬の食べ物 似せ絵、盗み絵
出戻る旧作品 画室蔵 佐伯祐三とその追随者
わが愛する吉之助 鰹のたたきと豆腐
小さい経験 温泉宿さまざま
民家に美を求めて
余白を語る
解説
向井潤吉略年譜
レビュー(0件)