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「私たちは必死に生きた。しかし、どう死ねばよいのか、それが分からなかった」 なぜ、透析患者は「安らかな死」を迎えることができないのか? どうして、「緩和ケア」を受けることさえできないのか? 10年以上におよぶ血液透析、腎移植、再透析の末、透析を止める決断をした夫。 その壮絶な最期を看取った著者による、息をのむ医療ノンフィクション! <序章>より 「夫の全身状態が悪化し、命綱であった透析を維持することができなくなり始めたとき、 どう対処すればいいのか途方に暮れた。 医師に問うても、答えは返ってこない。 私たちには、どんな苦痛を伴おうとも、たとえ本人の意識がなくなろうとも、 とことん透析をまわし続ける道しか示されなかった。 そして60歳と3ヵ月、人生最後の数日に人生最大の苦しみを味わうことになった。 それは、本当に避けられぬ苦痛だったか、今も少なからぬ疑問を抱いている。 なぜ、膨大に存在するはずの透析患者の終末期のデータが、死の臨床に生かされていないのか。 なぜ、矛盾だらけの医療制度を誰も変えようとしないのか。 医療とは、いったい誰のためのものなのか」 <目次> 序章 《第一部》 第1章 長期透析患者の苦悩 第2章 腎臓移植という希望 第3章 移植腎の「実力」 第4章 透析の限界 第5章 透析を止めた日 《第二部》 第6章 巨大医療ビジネス市場の現在地 第7章 透析患者と緩和ケア 第8章 腹膜透析という選択肢 第9章 納得して看取る 献体ーーあとがき 解説 南学正臣(日本腎臓学会理事長)
レビュー(42件)
緩和ケアは癌だけだった
図書館で借りて何度も読み返しました。その結果、この本は手元に置いて読み返したいと思い購入しました。 透析までいってしまった身内はいませんが、腎臓が弱くむくみやすい体質です。この本を読むまで透析をすれば何の問題もないのだと思い込んでいました。透析=地獄のスタートなのですね。緩和ケアが癌に限られていることも初めて知りました。教えていただいて有り難かったです。
新たに知ったことがおおくありました
透析ということはよく耳にしましたが、透析をやめることがこんなにも大変ということを身につまされました。母が、がん患者で、終末期、緩和ケア病棟で痛みをだいぶん取り除いた状態で亡くなりましたので、 透析患者様の終末期にそのような医療をうけれないことを、とても切なく読ませていただきました。
透析を見直す良いきっかけ
身近なものであった透析について改めて考え直させられた。2日で一気に読んだ。文章は軽快で重いテーマであるのにジメジメしたところがなく良い本だなと思った。
解りやすい
213310-20250220-0775224479 とても詳しく解りやすく書かれています。 家族にまだ透析患者はいませんが、その日が来たときのための心構えや医療行為を受ける際の参考になりました。 今からでも自分の地域で腹膜透析を行っているクリニックを探しておいても遅くはないと思いました。
かなり引き込まれる文章です。色々考えてしまいます。