平家には、もう明日はなかった。さかまく渦潮におのれの影を見るごとく、壇ノ浦に一門の危機感がみなぎる。寿永4年3月24日の朝、敵味方のどよめきのうちに戦は始まった。単なる海戦ではない。海峡独特の潮相と風位の戦である。潮をあやつり、波に乗るもの、義経か知盛かーー。その夜の星影も見ず、平家は波騒(なみさい)に消えた。波の底にも都の候う、との耽美的な一語を残して。 明日なき平家一門、壇ノ浦に危機感が漲る! 三月二十四日早暁、戦は始まった。だが、単なる海戦ではない、海峡の戦である。潮を操り、波に乗るもの、義経か知盛か。波の底にも都の候うーー落日の平家絵巻。
レビュー(11件)
読書の秋にふさわしい。
読み応えありの新平家物語です。親切丁寧で安心できました。
吉川英治さんの作品は読みごたえがあり、とても大好きです。最後に新平家物語をもってきました。楽しく読んでいきたいと思います。
吉川英治作品が大好き
いよいよ壇ノ浦 平家の人々の悲哀が伝わってきそうです
読書の休日
これで完読。 長いようで、いつの間にか全部買っていしまった。