また「あの国」は… また「あの人物」が… といった絶望的な“繰り返し”は決してよそ事ではなく、他ならぬ「この社会」そして「この私」が胸に手をあてて顧みるべき振舞かもしれません。--本書では破壊的な反復の渦に注目することで、身近な「スケープゴート/同調圧力」の連鎖の問題から、絶えない戦争まで、“社会の心”を精神分析します。--そして、社会の心が「自らの傷を無かったことにする」危険に警鐘を鳴らし、個の心が「傷」に気づき“哀しむ”ため、声なき声に耳を傾けてもらうことの大切さを説きます。
プロローグ
ーー境界が閉じること、開かれること
第一章 哀しむ、ということ
--フロイトの「喪の作業」
再体験の場にいること
もののけの成仏
第二章 哀しむ、ことができない
--ミッチャーリヒの「喪の不能」
思いどおりにしたい
集合的な心理的努力
過去の否認と反復
第三章 日本の中心に浮かぶ、緑の島へ
--現人神の喪失
精神構造を推し量って
神の人間宣言ーー三島由紀夫の『英霊の聲』
罪悪感について
第四章 罪の感覚、「すまない」物語
--北山修の「見るなの禁止」
神話的思考と社会的/内的構造
ジェンダー役割の固定化
いまもある「根の国」--村上春樹の『騎士団長殺し』
組織や社会のダイナミクス
第五章 思い起こすこと、そして哀しみ
--戦中世代の女性とのサイコセラピー
第六章 加害と被害、両方を生きる
--批判的思考にむけて
両方を生きる場
喪失の否認と躁的な防衛
精神分析的な戦後
エピローグ
--アジア・太平洋の精神分析
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