21世紀は、市民の時代になると期待されたが、 今日、その期待はすっかりしぼんだように見 える。他方では、NPOなどの既存のカテゴリー では語りきれない地域プロジェクトが、日本各地で活き活きと脈打っている。これらの市民的実践には、新たな言語化が必要である。本書では、市民的実践を捉える新たなレンズとして、これまでの伝統の蓄積を有しつつも、最先端の発想と仕組みを示唆する「市民的コモンズ」の概念を提案する。市民社会の次なるステージを描くための言葉として、理論的考察と実践者の語りから丁寧に概念構築を行う。
序 市民的コモンズ概念の構築に向けて
第1部 市民育ちの現場地域プロジェクトへの注目
第1章 「市民」はどこにいるのか
1 市民的イニシアティブへの期待
2 市民セクターの市民離れ
3 若い世代への効果的なアプローチに関する検討
4 「市民」が育つためには
第2章 自分事化はいかにして可能なのかーー地域プロジェクトによる市民育ちの可能性1
1 「参加の自分事化」の意味と論点
2 市民育ちの場として期待される「地域」
3 おやまちプロジェクトの事例研究
4 参加の自分事化のデザイン
第3章 市民性を向上させる要因とは何かーー地域プロジェクトによる市民育ちの可能性2
1 「市民育ち」という問い
2 「市民」概念の再検討と「市民性」の指標設定
3 用賀サマーフェスティバル(YSF)の事例研究
4 市民性を成長させるもの
第2部 市民セクターを捉える新たなレンズーー市民的コモンズ
第4章 ローカルとソーシャルを取り結ぶーー市民的コモンズの概念提起
1 日本におけるNPO研究の20数年を振り返る
2 ローカルとソーシャルを媒介するもの
3 3つのオルタナティブとその合流地点
4 NPO研究の振り返りと「市民的コモンズ」の提起
第5章 コモンズ研究の俯瞰と系譜
1 日本におけるコモンズ研究
2 海外におけるコモンズ研究
3 コモンズ研究を俯瞰する
第6章 市民的コモンズ概念の検討
1 先行研究におけるコモンズの定義
2 市民的コモンズを定義する
3 伝統的コモンズから新しいコモンズ、そして市民的コモンズの定義へ
第3部 市民的コモンズ概念のリアリティーー実践者との対話から
第7章 市民による地域資源の価値再構築とコモニーングの実践
1 放置された森のコモニーングーーコモンフォレストジャパン
2 まちの緑のコモニーングーーシモキタ園藝部
3 空き家のリノベーションとコモニーングーーふかさわの台所
4 銭湯のある暮らしのコモニーングーー小杉湯となり
第8章 操作概念としての「市民的コモンズ」と質的調査の試み
1 操作概念の設定
2 質的調査からの示唆
3 市民的コモンズ概念によるリアリティの描き方
結 市民社会の次なるステージへ思いを馳せる
参考文献
初出一覧
あとがき
人名索引
事項索引
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