死して3年ーー異才の演劇人「つかこうへい」がもたらしたものは何だったのか。
在日韓国人同胞として、その手法に反発しつつも、笑いの底に流れる暗い情念を読み取り、共感し、その生き様を抉り出す異色の批評集!
「…読後(『娘に語る祖国』)私は、この著者は在日韓国人にとってきわめて大切な人だという直観のようなものを得た。韓国での劇の上演に至るまでの過程などを主として書いた本なのだが、そこに何か在日韓国・朝鮮人の民族意識をもり立てるような目新しい考えが述べられていたのではなかった。それにもかかわらず、つかが非常に強い民族的な気概を持っていることが感じられたのである。」(「序に代えて」より)
民族的な「肌合い」の記憶を持ち続けた人ーー序に代えて
I 演劇人と小説家の狭間で
------「熱海殺人事件」を中心に
1 つか作品の評価の困難性
2 ギャグで押しまくる「熱海殺人事件」誕生の条件
3 「熱海殺人事件」と「飛龍伝」の執拗な改変
4 つか作品の「笑い」と「毒」について
5 諸作品に見えるいくつかの非日本的傾向
6 幻視の共同体ーー連作長篇『井戸のある街』の構想
7 作者と作中人物における「初心」の持続と転向
8 少数者の民族的自尊をもり立てるもの
II シナリオ作家としての映画・ドラマ
------『蒲田行進曲』から『寝盗られ宗介』へ
1 演劇と映画の相違について
2 『蒲田行進曲』『かけおち’83』『青春かけおち篇』 1
3 50〜60年代へのこだわりの意味
4 最も優れた作品『シナリオ 蒲田行進曲』
5 『この愛の物語』の複雑さを解きほぐす
6 願望としての『寝盗られ宗介』と『二代目はクリスチャン』
7 異色作で締め括られたつか作品の映像化
III 「愛」を欲して身悶えする「日陰者的人物」たち
------作風の形成過程
1 「口立て」の手法と創作姿勢
2 韓国映画『チング』とつか文学
3 作者が選び取った自身の社会的位相
4 「前向きのマゾヒズム」の由来ーー「ストリッパー物語」の系列
5 「愛」を欲してうごめく男女の形象化
6 男とは、いったい何なのか
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