本書は、17〜18世紀におけるヨーロッパ近代思想の趨勢を真正面から受け止め、ロックからスミスに至るまでの系譜として跡付けることを目標とし、イギリス近代思想の特質を「啓蒙」概念から分析し整理する。啓蒙の諸側面の中でも特に経済の問題を探究し、労働(勤労)や生産の重要性を強調しているが、これは、経済学の本来的目的を「人類が幾世代にわたって生存できる物質的基盤を確保すること、そのための経済社会システムを構築すること」という筆者の考えに立脚している。第1部では、啓蒙の起点としての自由な個人による世界の認識、知的・道徳的発達の問題を解明する。第2部では。啓蒙の基盤となる経済的豊かさを実現するのに、勤労と生産が重要と強調する経済認識の展開過程を明らかにする。
第1部 啓蒙の起点ーーー自由な個人による認識と社会
第1章 啓蒙の父としてのジョン・ロック
第2章 イギリス経験論からスミスの認識論へ
第3章 視角の社会化ーーー「観察者」視点の生成と変容
第4章 アダム・スミスにおける「観察者」と社会
第2部 啓蒙の基盤ーーー勤労に基づく所有、経済、社会
第5章 スコットランド啓蒙における所有思想の展開
---ロックの影響を中心に
第6章 勤労の育成ーーー初期啓蒙と経済認識
第7章 重商主義における野蛮と啓蒙ーーー「帝国」の政治経済
第8章 経済学形成期の労働=生産思想
第9章 ヒュームとスミスの「公共性」概念
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