国際財務報告基準(IFRS)の影響力拡大という形で、グローバルスタンダードが浸透する一方で、それが各国の課税所得計算という、国家にいとって重要なファクターを脅かす事態が生じている。
経済のグローバリゼーションは、金融の世界でもっとも急速に進展している。その一環として資本市場のグローバリゼーションが進み、証券取引所間の競争の激化、及びそれに対応するための取引所の統合が行われてきた。こうした事態に対処すべく、証券監督機関でも国際協力が不可欠となり、証券監督者国際機構(IOSCO)の役割の重要性が増大した。そうした流れによって証券市場規制の柱としての財務公開制度と、それを支える会計基準の整備が進められる中で、資本市場にリンクした会計としてのIFRS会計の普遍化が進行している。
日本においても、資本市場にリンクした会計としての証券取引法(金融商品取引法)会計の整備のための企業会計基準の改訂・新設が急ピッチで進められてきた。これは、資本市場にリンクした会計の普遍化のプロセスとして理解することができる。また、IFRSとのコンバージェンスが2007年の東京合意によって日本基準との間でも着実に進められている。これは、会計基準のグローバリゼーションの具体的姿である。
上記の問題意識の下に、資本市場にリンクした会計という、アメリカに源を発する特異な会計が、金融のグローバリゼーションの進展によって、グローバルスタンダードとして確立され、その影響力を拡大していく中で、国の課税所得計算にどのような影響を及ぼしているのか。また、国はそれにどう対処しようとしているのかという問題について、ドイツの経験を紐解くことにより明らかにすることが本書の目的である。
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