メモ魔の窓際刑事VS多国籍IT企業
秋田県能代市で、老人施設入居者85歳の死体が近隣の水路から発見された。雪荒ぶ現場、容疑者として浮上したのは、施設で働くベトナム人アインである。
外国人技能実習生のアインは、神戸の縫製工場で働きながら、僅かな収入を母国の家族へ送金する日々を送っていた。劣悪な労働条件に耐えかね失踪。列島を転々として東北にたどり着いた。重篤なガンを患っていた入居者に請われて、自殺を幇助したとの自供を始める。
これで解決か……。捜査官らは安堵したが、ひょんなことから捜査に加わった警視庁継続捜査班の田川信一は、死体の「手」に疑いを抱いた。捜査線上にあがったのは、流通業界の覇者として君臨する世界的IT企業サバンナだったーー。
<単行本が発表されたのは2020年秋だが、果せるかな、その1年余り
後の22年冒頭から、極端な円安が進み始めた。作中で「これから、日本人が景気の良いアジアに出て、仕送りする日がくるね」と吐き捨てたアインの予言(=作者の予言)は、着実に成就しつつあるようにも思える>--藻谷浩介氏(地域エコノミスト/巻末解説より)
日本経済の末路を予言した「震える牛」シリーズ最新作!
【編集担当からのおすすめ情報】
食肉業界の闇を暴いた『震える牛』、派遣労働者の悲哀を描いた『ガラパゴス』に続き、シリーズ第三弾となる本書は、アジアの「下級国民」になりゆく我が国の現実を題材としています。円安が進む日本経済への特効薬が見当たらぬなか、せめて矜恃は失うな、という本書のメッセージが心に重く響きます。
プロローグ
第一章 失踪
第二章 潜行
第三章 錯綜
第四章 深掘り
第五章 汚泥
第六章 斜日
エピローグ
レビュー(17件)
ガラパゴスをテレビで見ました。ぐっと引き込まれてしまいこの本を購入しました。最初の事件から田川刑事の執念深い捜査中盤からぐっと引き込まれました。昭和のにおいがして高齢者の私にも共感するものがありました。面白かったです
日本大丈夫⁈
何十年も上がらない日本の労働賃金。そんな日本で外国人労働者にしわ寄せがいっている。日本に来なければよかったという外国人労働者の言葉に、申し訳なさと日本大丈夫か⁈と怒りと悲しみの読後感でした。
女性キャリアの樫山警視と、大ベテランの田川刑事の急造コンビが、文字どおりに東奔西走して「事件の裏」に迫る。懸命な人達を嘲笑するような者への憤りに身を震わす、田川刑事の「静かな熱さ」が好い。 事件関係者の来し方を探る中で出くわす様々な事柄が、何か重い。他方、協力的な街の人達の様子等もじわりとする。全般にかなり「考えさせられる内容」でもある。基本的には「事件の謎を…」という刑事モノ、警察モノだが、「何時の間にかこうなってしまっている巷?」を問う部分も大きい。 広く御薦めしたい。
田川主人公の続編ですねw
社会派ミステリーとして知名度を上げた「震える牛」「ガラパゴス」の著者の田川信一主人公の現時点での最新刊です。 こういった小説は国内だけで結構ネタ不足には困らなそうですが、池井戸潤氏の作品の様に町工場・銀行という枠にとどまらず、視点を海外まで移すというチャレンジングな試みは評価される点だと思います。 上記に挙げた2作と警察側の主人公は同一なので、それまでの作品になじみのある方にはかなり読み進めやすいかと思います。 ただ、ページ数の割には文庫本レベルでは少々お高いのが難点でしょうか?