明治期、「文学」概念がゆらいでいた時代の中で、その独自の感性と知見から、歴史、藝術、思想へと関心を広げ、「国文学」の枠に収まらない学際性を発揮した藤岡作太郎。男性側の価値観から解放された文学史の叙述をはじめ、風俗史、絵画史などの歴史研究、思想史へのアプローチなど、幅広い領域にわたる業績の真髄に迫る。
略 伝
一 はじめにーー藤岡作太郎に注目する意味
二 略歴
三 秀でた学友たちとの交わり
第一章 「文明史」を志向する
一 「文明史」への意識
二 文学研究からの越境ーー風俗史と絵画史を中心に
1 『日本風俗史』の場合
2 『近世絵画史』の場合
三 思想性の獲得へ
1 「国民思想」をめぐる構想
2 西田幾多郎からの批評
3 自然への「愛」という理解
4 『善の研究』以前の講義草稿と『国文学史講話』
第二章 「文学史」を構想する
一 明治期の国文学
1 明治期前半、学制の転変と国文学
2 「文学」概念のゆらぎ
二 「文学史」濫造の中で
1 濫造される「文学史」
2 永井一孝による「文学史」関係の著作の評価
三 『国文学全史平安朝篇』のあたらしさ
1 なぜ平安朝の文学史か
2 「女子的」な時代の文学を肯定する
四 「国民性」をめぐる議論とナショナリズム
1 芳賀の「日本文献学」と「国民性」
2 藤岡とナショナリズムの関わり
第三章 鑑賞的批評の確立
一 「平安朝の一人となりて」
二 『源氏物語』の構成把握
1 構成をめぐって
2 物語の終結をめぐって
三 『源氏物語』の注釈史・研究史を受けて
1 注釈史の受けとめ方
2 「準拠」もしくは引用、そして「本意」の問題
まとめ
主要参考文献
略年譜
図版出典一覧
後 記
レビュー(0件)