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新型コロナウィルスの大流行によって、人々はこれまで積み上げてきた価値観や消費行動、思考に抜本的な見直しを迫れています。既存の枠組みによる経済成長だけでは推し量ることができないウエルビーイング(well-being)な社会の実現が、日本にとどまらず国際社会全体の喫緊の課題になっています。 ウェルビーイングとは、ひとが身体的・精神的・社会的に“良好な状態”であることを指す概念。それは昇進や結婚などのイベントによって一時的に得られる幸せや、あるいは日本国憲法でいう「健康で文化的な最低限度の生活」ができていることを指すのではありません。人生の満足度だけでなく、幸せを生み出している複合的な要素を組み合わせ、一時の感情に左右されない「持続的幸福度(Flourish)」を指標にしていこうと考え出されたものなのです。 そのなかで日本は、客観的なウエルビーイングの指標の一つであるGDPは右肩上がりに上昇し、世界第3位を堅持していますが、国連の発表する世界幸福度ランキングでは156国中62位と、世界各国と比較しても客観的地位と主観的地位の差が目立ちます。 オランダの資産運用会社ロベコのハッセルCEOは、投資の3要素を「リスク、リターン、そしてウェルビーイング(社会的な幸福)だ」と指摘しています。新しい資本主義では、ウエルビーイングの達成も目的となっているのです。 本書は、このように取り組みが必要とされているにもかかわらずイメージがつかみにくいウェルビーイングについて、働く人、部下を持つ人、経営者に向けて平易に解説するもの。ウエルビーイング研究の第一人者とコンサルティングのプロによる共著です。 第1章 ウェルビーイングとは何か 1 なぜいまウェルビーイングなのか 2 現代社会が求めるウェルビーイング 第2章 社会とウェルビーイング 1 仕事の現場とウェルビーイング 2 政治とウェルビーイング 第3章 ウェルビーイングの研究 1 多彩な研究者 2 幸福度を高める方法の研究 第4章 経営とウェルビーイング 1 ウェルビーイングを推進する企業人 2 企業経営の事例とウェルビーイング 3 成長する組織ーー調和と共生の社会モデル 第5章 地域・家庭とウェルビーイング 1 自治体の取り組み 2 夫婦の幸福度を上げる方法 第6章 幸福度の計測・向上事例 1 ウェルビーイングの測定 2 ウェルビーイングを向上させる活動の事例 おわりにーーウェルビーイングの未来 さらに学びたい方のためのブックガイド
レビュー(21件)
最近話題になっているウエルビーイングのことがわかりやすくまとめられている良書だと思います。2回読ました。