「大学での学び」に要求されるものは、小中高までの児童・生徒に要求されるものとは明らかに異なっている。本書ではその本質的な特徴を「学びの哲学」として捉え、問題解決、協同、創造、感動をキーワードにして詳述した。その後、そうした「哲学」をもとに運営されたゼミで育ったゼミ卒業生から、7つの領域・分野で活躍している合計18名が、実際の生活の様子についてエビデンス・データとして生の声を提供し、著者はそれぞれについて、学びの哲学がどのように拡がっていったのかを解説している。また、それらに先立って、著者のそうした学びの哲学が形成された過程や契機が、インタヴューに応える形で紹介されている。こうして、教授者側の思考の形成過程と形成された哲学、その実践とそれを共有した学生の現在の姿、という形で「教え─学び」が重層的に織りなす姿が大学生の学びの本質的な姿、として紹介されている。大学教員とそれを支える学生の生態学が展開された類書のないものとなっている。ともすれば知識・スキルの獲得にとどまってしまう恐れのある大学教育、とりわけ昨今の遠隔教育という方法をとらざるを得ない状況において見逃される危険性のあるこうした大学での学びの哲学は一考に値するものだと考えられる。
はじめに
序章 学びの哲学の形成過程─私の学びの哲学はどのように形成されたか─
第1部 学びの哲学
第一章 問題解決としての学び
第二章 協同活動としての学び
第三章 創造過程としての学び
第四章 感動・情動を伴うものとしての学び
第2部 拡がっていく学び
第五章 教育の現場で
第六章 大学事務職の立場で
第七章 大学教員の立場で
第八章 企業の中で
第九章 複数のキャリアの中で
第十章 家庭や地域社会・福祉の場で
第十一章 芸術・文化活動の場で
おわりに
コラム担当者
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