2019年4月、早稲田大学 先進理工学部に一人の全盲の学生が入学した。小学2年生の時に全盲となった彼女は、筑波大学附属視覚特別支援学校中学部、都立高校を経て、早稲田大学を受験。みごと現役合格を果たしたのである。そこで課題に直面したのは早稲田大学であった。はたして、どのようにすれば全盲の学生に大学の実験科目を履修してもらうことが可能なのか。この課題に、中心となって対応したのが、早稲田大学 理工学術院統合事務・技術センターの技術部に所属する技術職員たちであった。彼らはつねに彼女に寄り添いながら、学内外のステークホルダーたちを巻き込みつつ、高等教育機関として、当該の実験科目を通じて彼女に何を伝えるべきなのか、という根本的な問題意識の下に奔走する。その技術部の視点から綴った、現場からの報告が本書である。ダイバーシティやインクルージョンの重要性が叫ばれるなか、視覚障害教育に携わる人たちにとってはもちろん、すべての教育関係者にとって貴重な示唆に富んだ、他に類を見ない一冊である。
はじめに
Part 1 視覚障害学生の実験教育における技術支援に関わった人たち
1 視覚障害者の大学理系学部への進学ーー実績と課題
2 筑波大学附属視覚特別支援学校の経験と早稲田理工での挑戦
3 早稲田理工における視覚障害者受け入れの意味
4 私たちは彼女とともに学んだ
5 教育の現場で見た彼女
6 すべての実験を体験させてくれたーーそこから見えてきたもの
Part 2 入試から技術支援に至る経緯と総括・課題
1 入試までのプロセス
2 入試後から入学まで
3 1年次(理工学基礎実験1A・1B)〜3年次(応用物理学実験A)まで
4 実験サポートを終えて
Part 3 実験教育における技術支援の記録
1 化学基礎
2 物理基礎
3 生命科学基礎
4 工学基礎
5 応用物理学
実験で使用した主なサポート器具
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